石破首相がペルーに到着、米国の「裏庭」で中国に対抗 グローバルサウスと関係強化へ
【リマ=小沢慶太】石破茂首相は14日深夜(日本時間15日午後)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、政府専用機で南米ペルーの首都リマに到着した。会議出席に合わせて中国の習近平国家主席との初の首脳会談を予定する。日ペルー首脳会談も実施し、重要鉱物の供給網強化などを盛り込んだ共同声明を発表する。南米訪問を機に、中国が影響力を強めるグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)との関係強化を図りたい考えだ。 【写真】APEC首脳会議出席などのため、ペルー・リマの空軍基地に到着した石破首相 日中首脳会談は15日午後(同16日午前)の見通しで、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の推進を改めて確認。首相は、中国軍機による初の日本領空侵犯など、活発化する中国の軍事活動への懸念を伝えるとみられる。 ペルーのボルアルテ大統領とは17日(同18日)に会談し、共同声明に加え、政治・外交、経済、防衛など5分野での協力に向けた2033年までの工程表でも合意する。 首相はペルー訪問後、20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するためブラジル・リオデジャネイロを訪れ、ブラジル、メキシコなどとの首脳会談も調整。外務省幹部は「どう経済関係を強化していけるか議論できれば」と話す。 中南米は米国の影響が強く「米国の裏庭」と呼ばれるが、近年は中国が経済進出し、影響力を強めている。2017年以降、パナマなど5カ国が相次いで台湾と断交し、中国と外交関係を結んだ。 投資・貿易の規模で勝る中国に対し、日本は技術協力や人材育成などを通じてグローバルサウスとの関係を深化させる狙いだ。 首相は15日午後(同16日午前)、リマでバイデン米大統領との初会談や、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を交えた日米韓3カ国首脳会談も行う。米国第一主義を掲げるトランプ前大統領の大統領選勝利を踏まえ、日米同盟や3カ国連携の重要性を確認する。