元県議の妻殺害事件 これまでの検察側と弁護側の主張まとめ 19日から被告人質問始まる 被告は何を語るのか…
3年前、塩尻市で妻を殺害した罪に問われ無罪を主張している元県議会議員の裁判員裁判で先週、4つの立証テーマごとの審理が終わりました。 19日からは被告人質問が予定されていますが改めてこれまでの検察側と弁護側、双方の主張を振り返ります。 「妻・希美を殺したのは私ではありません」 10月の初公判でこう述べたのは妻を殺害した罪に問われている元県議会議員の丸山大輔被告・50歳。 2021年9月、塩尻市の自宅兼事務所で妻の希美さん・当時47歳の首を絞めて殺害した罪に問われています。 決定的な証拠がない中、裁判の最大の争点となっているのは丸山被告が犯人であるかどうかの「犯人性」です。 これまで「4つのテーマ」で検察側と弁護側が主張を重ねてきました。 「 ~争点①~ 所在と移動 」 このテーマで検察側は複数の防犯カメラの映像から丸山被告の車両が長野市の議員会館と塩尻市の自宅との間を移動したと主張。 丸山被告が所有する車には購入後にできたと思われる固有のキズや凹みがあり、防犯カメラに映った不審車両とキズの位置や凹みの形などが一致したとしました。 一方の弁護側は不審車両のナンバープレートまで判明していないことから被告の車両とは言い切れないなどと 主張しています。 「~争点②~ 動機 」 この争点で証言台に立ったのは、事件前まで丸山被告と不倫関係にあったという女性です。2015年から不倫関係だったという2人。 しかし… 「いつまでも不倫関係が続くのが嫌だった」 ついたての奥から震える声で語った女性。 事件の2年前、女性からの申し出で不倫は解消されたものの、丸山被告から定期的に連絡が来ていたといいます。 さらに被告は酒造の経営が不振だったため、希美さんの実家からおよそ「4000万円」の借金をしていました。 このことから検察側は妻の希美さんが事件に巻き込まれたかのようにして死亡すれば、堂々と女性に交際を求めることができることや借金の返済を迫られることもないと主張。 これに対し弁護側は浮気の発覚は事件から5年も前で事件当時、丸山被告と希美さんの夫婦間にトラブルがなかったこと。そして借金の返済を始めていたことなどから希美さんを殺害する理由はないと反論しています。 「~争点③~現場の状況と痕跡」 この争点で出された証拠は現場に残された足跡。 検察側は「足跡は被告が過去の写真で履いていたテニスシューズの底と一致した」と強調。 「物盗り犯に見せかけるための偽装工作」として「犯人が被告人の場合のみ、すべて合理的に説明できる」と主張しました。 一方、弁護側は「靴の底と完全に一致する足跡はない」などとして、「第三者の犯行と考えるのが自然」と反論しました。 「~争点④~事件前後の言動」 事件前日の夜、同僚の議員ら6人と食事をしていたという丸山被告。 午後10時ごろ、「一般質問の原稿を仕上げる」と告げて途中で退席。 しかし、丸山被告のパソコンのWordファイルはおよそ7時間半にわたって、更新されていませんでした。 このことから、検察側は「原稿はすでに完成されていてアリバイ工作である」と主張。 一方の弁護側は「過去にも一般質問の前日まで原稿を作成したことがあった」と反論。議会の一般質問で、議員に与えらえる時間は1人20分で原稿にするとおよそ6000字。 丸山被告の原稿は事件前日の時点で4200字程度、書かれていて、原稿が完成していたのかどうか見極めが難しいところ。 19日からの被告人質問で一体何を語るのか… ■解説 県警キャップ湯本記者 今回の裁判は丸山被告が犯人だという決定的な証拠がなく「否認事件」であることから合理的な疑いがあるかないかがポイントになります。つまり、丸山被告以外の第三者の犯行の可能性があるかどうかということになります。 19日からは被告人質問が始まります。 19日は「弁護側」から20日は「検察側」から、丸山被告に対して質問する予定です。 特に、丸山被告が会食を退席した事件前日の午後10時から翌日の午前5時まで空白の7時間に何をしていたのか。 そして不倫をしていた女性に対して交際の意思はあったのかなど話を聞くことになると思われます。 初公判以降、一度も話していない丸山被告の発言が注目されます。