「国民の血税」約1978億円注入で生き延びる「信用組合」のヤバすぎる将来と「再編」の必要性
2009年から2024年3月までの間で、23信用組合に計約1978億円の公的資金が注入されていたことは、あまり報じられていない。地域を支えるために必要な組織とみなされているが、収益構造が全く改善されないまま、国民の血税で「生かされている」だけという状況は健全ではない。『公的資金1978億円が「信用組合」の延命につぎ込まれていた! …大手マスコミが報じない「実名リスト」を公開』より続けて報じる。 【写真】最高450億円!公的資金注入を受けた信用組合「実名リスト」
信用組合の役割
信用組合は1900年に農民や商工業者の金融円滑化のために制定された「産業組合法」が信組のはじまりとされ、1949年に「協同組合による金融事業に関する法律(協金法)」の施行により、現在に至る信組の基となっている。 預けた預金は、地域・職域・業域などの同じコミュニティ内の組合員に融資されるように、信組は、組合員の経済的地位の向上を第一の目的とする非営利・相互扶助の協同組織金融機関であり、銀行のように利益を追求する金融機関ではない。 2023年3月末現在、145組合が1577店舗を擁し、預金積金は、合計23.4兆円、貸出金は合計13.4兆円に達している。145組合のなかで、預金量トップは、近畿産業信用組合(大阪)の1兆4,326億円であり、茨城県信用組合(茨城)、長野県信用組合(長野)が続く。 信用組合の貸出先を見ると、全体では1,000万円未満の貸出先が68.9%、また500万円未満の貸出先が58.8%を占めており、小規模事業者が多い。 名前が同じような組織に信用金庫(信金)がある。ややこしいのだが、信用組合も信用金庫も元々は信用組合だったが、1951年の信用金庫法の施行により、信用金庫が誕生した。 信金と信組の違いは、根拠法に加え、業務範囲などにある。例えば、信金は比較的広域をエリアとする一方、信組は、地域・業域・職員というコミュニティを基盤とする協同組織金融機関である。なお、信金は預金について受入制限がないが、信組は預金について原則組合員を対象としている点も異なる。 参考までに、信金においては、2011年3月の東日本大震災を受けて、翌年2月に宮古信用金庫(岩手)、気仙沼信用金庫(宮城)、石巻信用金庫(宮城)、あぶくま信用金庫(福島)に合計547億円の公的資金が注入されているが、他に公的資金を受けている信金はない。系統中央金融機関である信金中金をはじめ、健全な信金が比較的多いといえよう。