広島の受験生、難易度下がった「関関同立」へ流出 地元の大学は定員割れ続々
学生確保の戦略は
18歳人口というパイが先細る中、どう戦略を描くか。一部の大学は入試の門戸を広げたり、学費を下げたりするなど、即効性の期待できる学生確保策を打ち出す。 広島工業大は24年度入試から「女子枠」を復活させたほか、上位得点者への年間50万円の奨励金給付を始めた。エリザベト音楽大（中区）は来春以降、基準をクリアした入学生について学費の4分の1を免除する。広島文教大（安佐北区）も来年度、入学金を27万円から18万円に減額する。 ただ、学費値下げには慎重な見方もある。群馬県の短大の学長も務める大学経営コンサルタントの岩田雅明さんは「女子学生の増加、語学力の高い学生の確保など明確な目的があれば別だが、単なる値下げは経営の体力を消耗させる。ひいては教育の質の低下につながりかねない」と危ぶむ。 少子化で難関大のハードルが下がった今、地方の私立大が注力すべきは教育内容の充実だと指摘。「今後の社会を生きる上で必要なスキルを身に付けられる環境づくりなど、相当な覚悟を持って他大学にない特色を出す必要がある」と語る。
中教審中間まとめ案 定員見直しや統廃合促す
急速な少子化進行を見据えた高等教育機関の在り方は―。中央教育審議会（中教審）の特別部会がこのほど公表した中間まとめ案は、大学の定員の引き下げや統廃合を進め、規模を適正化していく方向性を示した。ただ、再編・統合に向けた明確な線引きは示しておらず、道筋はなお不透明だ。 中間まとめ案は今月19日の会議で大筋、了承された。経営悪化による教育の質低下を回避するため、大学の規模適正化が必要と強調。定員割れや不採算の状態が続く大学に対して、縮小や撤退の指導を強化すると明記した。 財務状況が厳しい大学を統合した場合、受け入れ側の大学で一時的に定員割れなどが起きても補助金減額などのペナルティーを緩和する。学校法人が解散した際の学生保護の仕組み構築も検討するとした。大学の新設については、将来の学生確保見通しなどに基づく設置認可審査の厳格化を求めた。 一方、今後は高等教育を受けられなくなる地域が出てくる恐れもあるとし、大学や自治体、産業界で地域の実情にあった規模や人材育成について話し合う場の構築を促した。国公私立の垣根を越えた「大学等連携推進法人制度」のさらなる活用も求めた。 留学生や社会人など多様な学生の受け入れも推進する。私立大の公立化は、安易な転換を避け、将来の運営見通しなどを慎重に検討すべきだとした。国から大学への公費支援、授業料負担の在り方も検討課題に挙げた。 中教審は本年度中に答申をまとめる予定。答申を受け、文部科学省が政策への反映を目指す。
中国新聞社
