阪神Bクラスでも“金本内閣”の超変革は無し?!
阪神が、来季のコーチングスタッフの大幅改造を行わず、一部の1、2軍入れ替えを除き、ほぼ全員留任の“金本一体内閣”でリベンジを狙う方向であることが9日、明らかになった。 坂井オーナー以下フロントが、金本監督の強い意向を汲み取ったもの。 今季は投手継投のミスや、長期の打撃不振に指導力を発揮できないなど、試合戦術や指導力において随所にコーチングスタッフの経験不足が露呈した。それでも、金本監督とコーチングスタッフのコミュニケーションが絶えることはなく、失敗、反省を積み重ねながら逆に信頼関係は強まった。1、2軍の選手の入れ替えも頻繁に行われたが、2軍の掛布監督とのホットラインも良好だった。 大幅な“内閣改造”で外部からコーチを入れることで起きるハレーションを考慮すると、今季の経験を土台に、来季も同じコーチングスタッフで戦った方がプラスになると、金本監督が考えた様子。また自らが声をかけて招聘したコーチ陣も多く、優勝という目標を達成するまで、一緒に戦うことを金本監督は、自らの責任、美学と捉えているようだ。 チーム内部の情報が外に漏れることや、他のコーチの悪口などを陰で言い合い、一丸ムードがなくなることを金本監督は禁じたが、その“金本ルール”が守られ、一枚岩を貫けたこともコーチ人事に大きく手をつけない理由になっているという。コーチ陣の超変革は進んだので、人を替えるという超変革は不必要と判断したようである。 それでも1、2軍の間でのコーチ陣の入れ替えは一部で行われる模様。また戦力外リストに入っている福原忍投手(39)に関しては、2軍コーチ就任を薦める予定だが、福原自身は、まだ進退を明らかにしていない。 巨人に本拠地甲子園で3タテを食らったことで、ほぼクライマックス出場の可能性はなくなってしまったが、Bクラスに終わりそうなチームが、コーチ陣の大幅改造、超変革をしないのは異例の事態だ。 過去の例を見ても、岡田彰布監督時代には、就任初年度の2004年に4位、Bクラスに終わると、打撃コーチが、金森永時、平塚克洋から、正田耕三、和田豊に交代。佐藤義則、中西清起で、1年目はスタートした投手コーチも、久保康生、中西清起に代わった。翌年、岡田阪神は優勝している。 また和田豊前監督も、就任1年目の2012年が5位に終わると、フロント主導で“内閣”が大幅改造された。ヘッドコーチが有田修三から黒田正宏へ。藪恵壹投手コーチが1年で1軍から“お役御免”になり、和田監督とは仲がいいとは言えなかった中西清起が復帰。打撃コーチも片岡篤史が外され、水谷実雄が、チーフ打撃コーチとして招聘され、和田監督の声がけで関川浩一も入閣。翌年チームは2位となりCS出場、2014年には、2位からCSを勝ち抜き、日本シリーズ進出を果たした。いずれも戦力補強の成功と、コーチングスタッフの改造も影響したとされている。 坂井オーナーは、来季のコーチ陣の組閣や、オフの補強については、金本監督に任せる“金本全権監督”を宣言したようだが、それは、現場への信頼とも取れるし、結果が出なかった場合の責任転嫁とも取れる。金本監督が決意した2年目の留任コーチングスタッフが、経験を元に、どう機能するのか。その勝負は、もうペナントレースの残り試合からはじまっているとも言える。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)