ジョン・レノンの元恋人が語る『失われた週末』と真剣交際の舞台裏「幸せな時間でした」
ジョンと共有した「思い出の曲」
─ジョン&ヨーコと働いていた時期の映画、テレビショーなど、あなたが居合わせたさまざまな場面が映画にも出てきますね。その時期で、何が一番の思い出でしょうか? メイ:当時はありとあらゆること、すべてをこなす必要がありました。私は年中無休で働いていた。その中で好きだった時間は、スタジオで過ごす時間でした。彼らがレコーディングスタジオに行くときが幸せだった……私にとって、音楽が人生でしたから。任されたことはすべてやっていました。ちょっとしたおつかい、事務仕事……本当に何から何まで。目まぐるしい日々でしたが、そのおかげで今があると思います。 ─ヨーコからジョンのそばにいるように言われたとき、あなたはかなり困惑したと思います。 メイ:ええ、私が彼のそばにいたかったのではなく、ヨーコにずっと説得されていました。私は断り続けていたんですが、しばらくして、ジョンが直接私に言ってくるようになった。いったいどういう風の吹き回しかと思いました。ヨーコは何も言わなくなって、ジョンから説得されるようになったのです。 ─ジョンから直接説得されたにせよ、やはり不安だったのではないでしょうか? メイ:もちろんです。ただ、当時はアルバム制作の真っ最中でしたし、彼はもっと不安を抱えていたんだと思います。私はアルバム制作が滞りなく進むことだけに集中していました。だから、彼がサポートを求めてきたのは思いもよらないことだった。そのことを感じとってから、私は「心配ない、きっとうまくいく」と、ナースのように振る舞いはじめました。その渦中で、彼は同時に人生を模索しているようでした。 ─ジョンと暮らしている間、いろんな音楽、いろんなバンドの話をしたと思います。彼がどんな曲を好んで聴いていたのか教えてくれますか? メイ:共通して好きな音楽はたくさんありました。アイズレー・ブラザーズの曲。特に、大ヒットした「That Lady」は毎晩のように歌ってくれました。別れてからしばらく経ったある日、ジョンが会いにきてくれたことがあって。「タイトルが分からないんだけど、耳に残っている曲があるんだ」と彼が言うので、口ずさんでもらった曲を聞いてピンときました。私はその曲のレコードを持っていたので、ターンテーブルにのせ、彼に聴かせました……それはリトル・リヴァー・バンドの「Reminiscing」でした。曲を聴いた彼は「この曲をラジオで聴くたびに、君のことを思い出すんだ」と言ってくれた。あれは私にとって特別な意味を持った曲です。 ─いい話ですね。逆に、彼が好んでいなかった曲は覚えていますか? メイ:好きではない曲の話をしている時間は、私たちにはありませんでしたね(笑)。