長崎2区、大票田で激しく競り合う 衆院選・県内選挙区の終盤情勢(中)
与野党が激しく競り合う長崎2区は、組織固めを急ぐ自民党前職、加藤竜祥候補と、票の上積みを狙う立憲民主党前職、山田勝彦候補が大票田の諫早、大村両市で雌雄を決する展開にもつれ込んでいる。 「比例復活がないので、1票でも負ければ即ゼロ。1票でも勝てば100」。23日夜、大村市内であった個人演説会。自民県連総務会長の松本洋介県議は、加藤候補の置かれた状況を代弁し、さらなる支援を求めた。 大村市は加藤候補にとって未開の地。後援会組織がなく、事務所開設も直前に決まるなど選挙戦序盤は出遅れが目立った。終盤に差しかかるにつれて市議団の動きは活発化してきたが、同市を地元とする山田候補に比べると、知名度不足は否めない。 旧2区からの拠点の諫早市では後援会や県議らがフル回転。選対幹部も「諫早で負けたら話にならん」とハッパをかける。陣営は「比例は公明」を徹底しつつ各種団体や企業回り、電話作戦などで支持層固めを図り、終盤の反転攻勢に出る構えだ。 「2位じゃだめなんです。1位じゃないとだめなんです」。20日に諫早市内であった個人演説会。山田候補は票の上滑りを警戒し、危機感をあらわにした。「山田は比例復活できるから迷っている人は自民党にと、相手方が言うかもしれない。決してそんな作戦に乗ってはいけない」 序盤から優位に戦いを進めているとの報道もあり、陣営内では「2009年の福田衣里子氏の選挙以来の反応の良さ」(市議の1人)と期待が高まる一方で、「相手は徹底して巻き返しにくる」(支援労組幹部)と警戒する声もある。 大票田である「諫早を制する者が2区を制する」(県議の1人)という意識は両陣営に共通しているが、自民の組織に対抗するためには浮動票の獲得が欠かせない。山田陣営は「いかに顔を出すか」と街宣を重視。上積みに懸命だ。 参政党新人の髙木聡子候補は「子どもたちの未来を救いたい」とアピール。日本維新の会新人の横田朋大候補は「有言実行の政治を取り戻す」と支持を訴えている。