背番号には10キロ届かずも…トライアウトで好投 抜群の素材・小林珠維、朗報なるか
背番号には10キロ届かなかったが、見事な好投だったと伝え聞いた。ソフトバンク5年目の育成右腕・小林珠維(じゅい)投手(23)が14日にZOZOマリンで行われた12球団トライアウトに参加。最速147キロをマークし、2三振を奪ったとの情報が同日の午前中に入ってきた。 「なんとか球速で、アピールしてきますわ」。12日に筑後ファーム施設で全体練習とは別の時間帯に個別で調整していた。5月7日生まれで、3桁の背番号は「157」の道産子。「背番号くらい球速出せば最高のアピールになるっちゃないと?」と室内練習場で伝えると爆笑していた。 小林は10月28日に球団から、来季構想外の通告を受けた。「そんな予感はありました」。個別練習中に、つぶやいていた。東海大札幌(北海道)から19年ドラフト4位で入団。同期は佐藤直、海野、津森、柳町で唯一の高校生だった。内野手で入団も、投手としても能力を評価されていた。3年目の22年に1度目の戦力外通告を受け、育成選手として再契約。投手と野手の二刀流にも挑戦するなど、支配下再登録を狙っていた。 両親ともに、元アスリート。幼少期からスピードスケート、アイスホッケー、水泳などあらゆるスポーツに打ち込んできた。身体能力は抜群で、コーチ陣からは「もう1回、野手をやれ」と言われたり、スカウトたちには「投手にこだわれ」と言われたり。素材が抜群なだけに投手、野手のどちらに絞って勝負するべきかを、悩んでいた。 今回の2度目の戦力外通告を受けた直後から、トライアウト参加は決めていた。何があっても、いつも笑顔。特に、先輩たちにかわいがられていた。胸の内に闘志を秘める勝負師タイプは「打ってきます」と“いってきます”風に言って、入団テスト直前にもボケていた。 トライアウトでは打者としても3打数1安打。やることはやった。有言実行した。あとは朗報を待つだけ。小林が笑顔で何と報告してくるか、待っている。(記者コラム・井上 満夫)