「ぐうの音も出ない」悟空をも黙らせた『ドラゴンボール』ピッコロの「ド正論シーン」
■悟飯の気持ちを理解…悟空にも響いたド正論
ピッコロが悟空をも黙らせたド正論シーンがある。それが「人造人間・セル編」でのことだ。 人造人間たちを吸収し完全体となったセルは、地球の代表者とセルが戦う「セルゲーム」を開催。さらに、誰も自分を倒せなかったら地球を滅亡させるという。それに備え、“精神と時の部屋”で修行した悟空と悟飯。その際、悟空は悟飯が自分の力を超えたことを確信した。 そして、セルゲームがはじまった。悟空が先に戦うもセルに及ばず早々に降参、悟飯を代表者として送り出す。 悟飯の“怒りのパワー”を引き出せばセルに勝てると踏んだ悟空の思惑だったが、当の悟飯は“戦ったりするのは好きじゃない”と、一方的にやられるまま。強敵を求めるセルは何としても怒らせようと悟飯を痛めつけ、覚醒させようとする。 なかなか真の力が解放されない悟飯に焦る悟空だったが、ここでその考え方は間違っていると諭したのがピッコロだった。 悟飯は戦いが好きではないこと、ちゃんと話し合ったうえでの作戦なのかと問い、「…今 悟飯がなにを思っているか わかるか!?」「怒りなんかじゃない!! なぜ おとうさんは ボクが こんなに 苦しんで死にそうなのに助けてくれないんだろう…」と、悟飯の想いを代弁するかのように伝える。 “誰より実力はあっても悟飯はまだ子どもだ”と諭すピッコロに、悟空もハッとした様子で半ば放心状態になっていた。 いやはや、ピッコロのほうが悟飯をよく理解していたと言えるだろう。さらに「やられてもいい! オレはいくぞ」と、悟飯のため死すらいとわぬ覚悟でセルに立ち向かおうとマントを脱ぐピッコロはカッコ良かった。もはや悟空以上に父親のように思えたのは、筆者だけではないだろう。
■魔人ブウが唯一気を許したサタン…父の誇りを守ったビーデルへの言葉
「魔人ブウ編」で活躍したのがミスター・サタンである。本来はたいして強くもない中年オヤジなのだが、世間ではセルを倒した格闘技の世界チャンピオンとして人々から称えられている。 サタンはブウにうまく取り入り、無意味に人を殺さないことを約束させ仲良くなる。その絆は意外にも深かったのだろう。ブウが分裂し魔人ブウ(悪)に吸収されても、記憶にはサタンが残っていたほど。その証拠に、地球人を全滅させても、魔人ブウ(悪)はサタンだけは殺さなかった。そしてサタンも、次第にブウへの愛情が芽生え始めていた。 最終決戦のブウ戦で、サタンは地球上の元気を集めて元気玉を作ることに貢献し、さらに気絶しているベジータを助けるというファインプレイを見せた。 最終的に魔人ブウ(悪)は悟空に倒され消え去ったが、善のブウは生き残る。とどめを刺そうとするベジータだったが、サタンは「そんなにわるいヤツじゃないんだ…!!」と、善のブウを必死に守り、責任持って我が家で保護するとまで言い出した。 そんな父・サタンと地球を恐怖に陥れた魔人ブウとの関係を、娘のビーデルが不思議がるのも無理はない。 この決戦の少し前、ビーデルはピッコロにサタンと魔人ブウの関係を尋ねている。するとピッコロは、「オレたちが力でなんとかしようとしていた時に ミスター・サタンは動機はどうであれ 魔人ブウと友になることを選んだ…」「力はオレたちにかなわんかもしれんが やはり おまえの父は誇り高い世界チャンピオンだ……」と、伝えた。 こんな風に父を褒められたら娘も父を見直すだろうし、“世界チャンピオン”としてのプライドも保たれるというものだろう。さすがは神様だ。 ここまでピッコロのド正論を振り返ってみたが、初登場時のマジュニア時代からはとても想像できないキャラ変といえる。 転機となったのは、やはり悟飯と一緒に修行した時期からだろう。セルゲームで自分の命を懸けてまで悟飯を救おうとした言動には心を打たれた。 新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』では、小さくなり可愛らしい姿となったピッコロ。どんな活躍を見せるのだろうか。今後も楽しみだ。
ジャッキー