久保建英と共闘も挫折… 欧州で戦う24歳日本人MFの転機「もしあの時Jユースに上がってたら」【インタビュー】
ドイツ3部ビーレフェルトで戦う水多海斗、ようやくの時に「(久保)建英が入ってきた」
ドイツ3部アルミニア・ビーレフェルトでプレーする24歳の日本人MF水多海斗は、ドイツ5部から着実にステップアップを遂げ、今季リーグ戦25試合出場で5ゴール5アシスト(第35節終了時)の活躍を見せている。そんな水多の原点はどこにあるのか。日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)との出会い、FC東京ユース昇格を果たせなかった挫折、鼻を折られた前橋育英高校時代に迫る。(取材・文=中野吉之伴/全5回の1回目) 【動画】ドイツで活躍…豪快ミドル弾や巧みな一撃! ビーレフェルトMF水多海斗の今季全5ゴール ◇ ◇ ◇ 誰の人生にもさまざまな分岐点がある。どんな選択がどんな未来につながっているかは分からない。出会いや挫折があり、きっかけがある。自分の下した決断に責任を持ち、目を背けずに歩んでいけるかどうか。そうやって自分の手で未来を切り開こうとしている若者がいる。 「ジュニアユースの3年時にようやく試合に出られるようになったというタイミングで(久保)建英が入ってきたんですよ」 声の主は水多海斗。現在ブンデスリーガ3部のビーレフェルトでプレーする攻撃的MFだ。小学校時代の水多はナショナルトレセンにも選ばれる同世代きっての才能の持ち主と評判が高かった。 「小学校時代は自分にすごい自信を持っていました。全国レベルで評価してもらえて、ナショトレまで選ばれて。ただ中学生になってから身長が伸びなかったこともあって、フィジカルで負けて、ジュニアユースでのサッカーになかなか上手く順応できなかったんです。当時、FC東京のジュニアユースに所属していたんですがずっとベンチで、3年生になってようやくフィジカルでも負けないものが備わってきた時に建英がポンっと入ってきたんですね。もともと建英のことは知っていましたし、僕も上手い奴がいると『あいつには負けたくない』って影響されて。しかもプレースタイルも似ているので感じられるところが多くて楽しかったし、試合に出て結果を残せるようになって、大会で優秀選手に選ばれたりもしました」 今スペイン1部レアル・ソシエダで活躍する日本代表MF久保建英との共闘で確かな感触を掴んだ水多だったが、FC東京のユース昇格には届かなかった。同時期、久保のほか、平川玲(現ジュビロ磐田)をはじめ、将来を期待された選手がいたことで、「活躍するタイミングがちょっと遅かった」という水多は違う道の選択を迫られた。 「大きな挫折でした。前橋育英への入学を決断したんですけど、Jリーグ下部から来てるという、変に鼻が高くなっていた。『1年からスタメンで出てやろう』と思ってたんですが、『いや、俺らは上手い選手は必要ない。頑張れる選手、戦える選手、走る選手を使いたい』っていきなり鼻を折られました。最初はAチームでもプレーさせてもらっていたんですが、『そのプレーはなんだ?』ってBチームでプレーすることになって。Bチームのコーチが厳しくて、そこで本当にいろんなことを学びました」