銀杏BOYZ、10カ月にわたる弾き語りツアー最終日をレポート ゲストのTOMOVSKYを迎えて47都道府県完走!
「二回戦」が始まると、ステージ後方に白幕が降り、歌う峯田の超どアップの顔(目元だけに寄っていたりする)が映し出される。その画は、12曲目「ぽあだむ」では夕焼け空を思わせる真っ赤なビジュアルになったりと曲ごとに変わっていく。 「キミからメールが来ないから」という歌詞の古さに自分でツッコミを入れながらも、「写メールとか、10代の人、わかっかな。まあわかりますよね。ババアばっかりだから」と悪態をついて笑いを取ってから、13曲目「ナイトライダー」へ。この曲は、タンバリンを振る岡山健二と峯田が、ツインボーカル状態で交互に歌う。 次は「FRIENDS(ENDLESS SUMMER)」。GOING STEADY時代の曲を銀杏BOYZでリメイクすることを、峯田は何度かやっているが、この曲を歌うのは珍しいかもしれない。 加藤綾太のギターを褒め称えるMC(峯田「なんでそんなにうまいの、教えてよ。銀杏ぽくないじゃん」)を経ての「骨」は、岡山健二がリードボーカル。バンドでも弾き語りでも、今の銀杏のライブで必ず歌われる曲だが、元は安藤裕子の依頼で書いた曲、つまりそもそも人が歌うための曲だと考えると、岡山健二が歌うのもうなずける気もする。後半では峯田もボーカルを取り、「東京タワーのてっぺんから、三軒茶屋までジャンプするー。」を、「浅草寺までジャンプするー。」に変えて絶叫した。 亡くなったミュージシャンたち(チバユウスケ、櫻井敦司、そしてイノマー)の音楽は消えない、という言葉からの「GOD SAVE THE わーるど」、コンパクトにリアレンジした「光」(オリジナルは11分22秒あるが、この日は7分ぐらいだった)。 そして、MCを経ての最後のブロックは、「少年少女」と「BABY BABY」、銀杏のレパートリー内でトップクラスの、新旧のシンガロング曲を並べた。どちらもオーディエンスは大合唱で応える。特に「BABY BABY」、もう峯田がマイクを向けようと向けまいと関係ない状態である。 本編のラストは、銀杏のライブにおけるアウトロというかクロージング・アクト的な存在である「僕たちは世界を変えることができない」で、美しく締められた。 アンコールを求める声に応えて再登場した峯田は、8月にロンドンのアビーロード・スタジオに呼ばれている、まだ言えないがイギリスのすごいバンドと、一緒にやってくる、本当に音楽をやってきてよかったと思う──と、報告した。 そして「なんとなく僕たちは大人になるんだ」を弾き語りで歌い始めるが、客席から起こったハンドクラップが歌いにくかったようで、いったん歌を止めて、「ちょっとすみません、うれしいよ? うれしいけど、中には……」と、音頭みたいな手拍子も混じっていることを指摘する。「ロックだよ? 謝恩会じゃねえんだよ! でもまあ、浅草っぽくていいか」。客席が笑いに包まれる。 で、最後の最後は、加藤綾太と岡山健二が加わって、峯田はハンドマイクで、「DO YOU LIKE ME」。2分半強の尺で、ハードコアの原曲をラップテイストにアレンジしたこの曲を、終始叫ぶように歌い通した峯田は、「どうもありがとうございました!」とマイクを投げた。ゴツッ! というその音と共に時計を見たら、20時44分57秒だった。 Text:兵庫慎司 <公演情報> 『銀杏BOYZ 世界ツアー 弾き語り23-24 ボーイ・ミーツ・ガール Boi Meets Girrrl』 2024年7月12日(金) 浅草公会堂 出演:銀杏BOYZ/TOMOVSKY 【セットリスト】 ■TOMOVSKY 1. 脳 2. 歌う 58歳 3. ミネタ君がこの部屋の最初のお客様 4. 部屋にいすぎだ 5. 目をとじるな 6. 日本酒雨割り 7. 夏のアリは早歩き 8. 夜中一度風が止まる 9. SKIP 10. 我に返るスキマを埋めろ ■銀杏BOYZ 1. 新訳 銀河鉄道の夜 2. NO FUTURE NO CRY 3. 若者たち 4. 夢で逢えたら 5. 漂流教室 6. エンジェルベイビー 7. 恋は永遠 8. いちごの唄 9. 朝立ち 10. 二回戦 11. もしも君が泣くならば 12. ぽあだむ 13. ナイトライダー 14. FRIENDS(ENDLESS SUMMER) 15. 骨 16. GOD SAVE THE わーるど 17. 光 18. 少年少女 19. BABY BABY 20. 僕たちは世界を変えることができない EN1. なんとなく僕たちは大人になるんだ EN2. DO YOU LIKE ME