大谷翔平「グレート」な“ブラスト弾”カウント不利でも高いミート技術で月間MVP当確の12本目
<ジャイアンツ7-14ドジャース>◇29日(日本時間30日)◇オラクルパーク 【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)29日(日本時間30日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、月間MVP当確の1発を放った。ジャイアンツ戦に「1番DH」で出場し、4打数1安打1打点。3回の第2打席で26号ソロ本塁打を中越えに運んだ。これで月間12本目をマーク。アーチ量産態勢の勢いは止まらず、84試合で26本塁打は、夢の大台50本に到達するペースとなった。チームはタイブレークの延長11回に7点を奪い、点の取り合いを制した。 ◇ ◇ ◇ 真ん中に入ってくれば、2ストライクだろうが関係ない。強振×ミート技術が高い大谷は3回1死、カウント1ー2から右腕ハワードの甘いスライダーを捉えた。バットスピード79・7マイル(約128キロ)で、芯でどれだけ正確に捉えたかを示すスクエアアップ率は94・6%。2つの数値を足すと174・3となり、ブラストの基準164を上回る。飛距離412フィート(約126メートル)の“ブラスト弾”を中越えにたたきこんだ。ロバーツ監督は「高めに浮いたボールをセンターへ飛ばして打点を挙げた。グレートだった」と評価した。 2球で追い込まれてから粘り、本塁打につなげた。打率1割台だった例年に比べ、今季ここまで2ストライクからの打率は2割3分7厘と不利な状況にも強い。1発で仕留めた一振りは今季の大谷の平均スイングスピード75・5マイル(約122キロ)を大幅に上回った。際どいコースならコンパクトに、真ん中付近なら強振。瞬時の判断でスイングを変えることができるのも、状態がいい証拠と言える。 本塁打を量産し、ここ最近は勝負を避けられる場面も増えてきた。この日は2四球。延長11回は申告敬遠で歩かされた。それでも、甘く入ってきたボールは見逃さない集中力がある。また、海に隣接する敵地オラクルパークは上空で舞う風の影響を受けやすく、左打者には不利とされる。3回の1発は角度35度で高く上がりながら、失速せずにフェンス越え。力強い打球に、チケット完売で盛り上がった3万9663人のファンも騒然となった。 長年、同地区のライバルとしてしのぎを削ってきた両軍の戦いは延長11回、ド軍が7得点の猛攻で激闘を制した。試合時間は3時間45分。大谷が本塁打を打った頃から2時間以上が経過しており、試合後、ロバーツ監督は「今日、ショウヘイは本塁打を打った? 本塁打は、昨日じゃなかったかな?」とジョークをさく裂させた。84試合で26本塁打は、シーズン50本ペース。自己最多(21年、46本)はおろか、ド軍史上最多(01年、ショーン・グリーンの49本)も上回る。今月12本塁打で月間MVP当確の1発を、豪快に決めた。 ◆ブラスト メジャーの新しい指標で、スイングスピードのデータなどから導き出した、正確かつ速いスイングでとらえた打球を示す。「スクエアアップ率」と関係しており、これはバットスピードと投球の球速から求められる打球速度の理論上の最大値に対して、実際の打球速度がどれほど近かったかを示す指標。芯で捉える技術と相関し、「スクエアアップ率」が高いほどバットの芯で捉えている。「ブラスト」は「スクエアアップ率×100+スイングスピード(マイル)が164以上の打球」。この数値が高まれば長打の可能性が高くなる。大谷は現在両リーグでブラスト率1位にランクされている。 ○…大谷がチーム84試合目で26本塁打。今季初めてシーズン本塁打ペースを50発の大台に乗せた。球団記録は01年にショーン・グリーンがマークした49本塁打。現時点では球団記録を塗り替えるペースに転じた。 ▼メジャーで50本塁打を達成した選手は過去31人で計48回。最初の達成者はベーブ・ルースで、1920年に54本を放った。ルースは歴代最多タイの4回を記録。マーク・マグワイア、サミー・ソーサも4回達成。アレックス・ロドリゲスの3回が続く。他の顔ぶれをみても、ウィリー・メイズ、ロジャー・マリス、デービッド・オルティスらレジェンドたちが並ぶ。