遺族「加害者の後悔が託された」池袋暴走事故・飯塚受刑者(93)死亡
5年前、池袋で起きた乗用車の暴走事故で実刑判決を受け、刑務所に収容されていた飯塚幸三受刑者(93)が、老衰のため、亡くなりました。 【画像】遺族「加害者の後悔が託された」池袋暴走事故・飯塚受刑者(93)死亡 妻と娘を亡くした松永拓也さん。沖縄で講演を行っていました。飯塚受刑者死亡の知らせが届いたあとも、訴えたい思いは、一貫していました。 松永拓也さん 「私は、この動画をすごく大切にしていて、自分がいつか命尽きるときが来ると思います。命が尽きたときに、2人が出迎えてくれて『おかえり』と言ってほしい。あの日、2人に言ってもらえなかった『おかえり』を言ってほしい。そのときに『ただいま、お父さんは頑張って生きたよ』と言いたい。誰しもが、被害者にも加害者にも、遺族にも加害者家族にもならないで、『おかえり』と安心して、言い合える社会になってほしい。私は、そのためにできることをやっていきたい」 事故が社会に与えたインパクトは大きく、この年、自主返納された免許数は、前年よりも1.5倍近く増えました。
当初、飯塚受刑者は、“車の故障”を主張していたのですが、禁錮5年の実刑判決を受け、収容される当日の朝に、初めて自らの過失を認めるコメントを出しています。 飯塚受刑者のコメント(2021年10月) 「暴走は、私の勘違いによる過失で、ブレーキとアクセルを間違えた結果でした。反省するため、刑に服してまいりたい」 この言葉から3年、刑務所で終えた93年の生涯。 松永拓也さん 「もちろん妻と娘も無念だったと思います。もっと生きたかったと思う。だけれども、加害者もそういった人生の最期を迎えたことは、本当に無念だったんだろうなと思うんですよね。加害者の後悔とか、加害者の言葉を、ある意味、託されたと思っている」 今年5月、松永さんは1度だけ、飯塚受刑者と面会し、こんなやりとりがあったことを明かしています。 松永拓也さん 「『世の中の高齢者の方に伝えたいことはありますか?』と伝えたところ、ほとんど言葉はしゃべれなかったですけど、その質問だけは答えたんです。『世の中の高齢者の方に免許を返納するように伝えてください』と。彼は、私の再発防止にかける思いをくんでくれたと思うので、私は、彼の思いは無駄にしないようにしたい。簡単に許すとかは、私は多分ないです。許せないかもしれない、一生。だけれども…彼の言葉とか思いを認めることはできる、許すことはできなくても」
テレビ朝日