16本のパスを繋いで均衡を破る。インドネシア戦の先制点で小川航基が果たした役割「たまたまのゴールではない」【日本代表】
いかにボールホルダーの選択肢を増やすか
この時、もう一人、目立たないながらも効果的なオフの動きをしていたのが南野だ。一度は小川とほぼ同じ高さのポジションから、小川とは逆向きの動きをして、インドネシアの間伸びを拡大させた。そして町田がパスを出す直前に、小川は一度オンサイドに戻って、そこから動き直して鎌田からラストパスを受けに行っている。 守田、鎌田、小川が連動する関係が決定的な役割を果たすことになったが、スローイン以外は直接ボールを触らなかった左の三笘も、大外で右ウイングバックのディクスを外に開かせることで、起点の町田が左ワイドで前を向き、さらに鎌田が中央を破るためのスペースを空ける効果を生み出していた。 日本は攻撃的なポジションの一人ひとりが個性をうまく発揮して、全体の動きとリンクしているが、やはりボールに直接関わっていない選手が、いかに相手のディフェンスにとって嫌なポジションを取り、ボールホルダーの選択肢を増やすかというイメージの共有ができている。 そうした意識の中でも、1トップでスタメンのチャンスを得た小川が、今シリーズでは怪我で選外の上田綺世ともまた少し違った動きの特長で最初のゴールを導き出したことは、今後の森保ジャパンにとっても収穫だろう。 「しっかりと点を取れる一番危険な場所に入っていくということを意識してたので。ああいったところは自分の特長でもあると思っているし、たまたまのゴールではないというか、しっかりと相手の前に入れたんで、そこは良かったかなと思います」 そう振り返る小川だが、フィニッシュに関わる動きの前に、最前線で周りの良い流れを作る役割をこなしたうえで、最後に絡んでいく流れが作れていたことが、先制点の場面でも証明された形だ。 取材・文●河治良幸
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