日立市 桜植え替え計画前倒し 平和通り〝トンネル〟再生 茨城
「日本さくら名所100選」に選ばれている茨城県日立市平和通りの桜並木について市は、樹勢が衰えた木の更新計画を改定した。2023年度実施した樹木診断で、倒木などの危険がある木が想定以上の早さで増えていることが判明。当初計画を前倒して伐採と植樹を進め、古木の保全も図りながら桜のトンネルの再生を目指す。 平和通りのソメイヨシノは計約120本。1951年と77年の2回にわたって国道6号からJR日立駅前まで約1キロの区間に植えられた。「さくらのまち」を代表する名所で、毎春のさくらまつりは多くの見物客が訪れる。 市は、植樹から40~70年が経過して樹勢の衰えが目立つことから2019年に桜更新実施計画(1期)を策定。内部に腐朽や空洞化が進んでいる桜もあり、倒木や枝の落下などの危険性が高い木の植え替えを進めてきた。 当初は5年間の計画期間で26本伐採する予定だったが、交通に影響するリスクが高い木に加え、腐朽の原因となる病害虫が確認された桜の更新も進めた結果、計画を大幅に上回る45本を伐採、31本植樹することになった。 市によると、23年度、若木を除く64本の桜を診断したところ、9割強で健全度の低下が進んでいることが判明、うち37本は更新対象となる「不健全」と評価された。同年度は緊急対応として例年の約2倍の17本を伐採した。 このため基本方針に掲げていた「並木景観を維持しながら更新する」ことは困難となり、改訂後の2期計画では①古木の保全②危険木への迅速対応③並木景観の創生と活用-を掲げた。桜のトンネルの再生に向け、土壌改良による生育環境の改善や適切な日常管理を進める。 2期計画の期間は24~48年度の25年間。24、25年度の最初の2年間では危険度が高い計19本を伐採し、その後は定期的に樹木診断を行いながら危険木を更新していく。計画期間中に46本を伐採し、49本植樹する予定だ。 市によると、伐採後に植えるのは樹齢7~10年で幹回り約25センチ、樹高3~4メートルほどのソメイヨシノ。植樹後、十分な大きさに成長するまでに15~20年ほどかかるといい、平和通りの車道をほぼ覆うまでには30~40年の期間が必要と見込んでいる。 桜の更新費用を巡り市はこれまでにクラウドファンディングを2回実施し、目標額を大幅に上回る寄付を集めた経緯がある。植え替えや維持管理は中長期の事業になることから、今後は基金の創設も検討する方針という。 市は「一時的に花のボリュームは減るが、必ず復活させて次世代に引き継いでいく。今は一緒に成長を楽しんでもらえれば」としている。
茨城新聞社