【公演レポート】シリアスからコメディまで、安田顕・林遣都が兵士役を熱演「死の笛」開幕
安田顕と林遣都が出演する「TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-『死の笛』」が、本日7月5日に東京・草月ホールで開幕。これに先駆け、昨日4日にゲネプロが行われた。 【画像】TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-「死の笛」ゲネプロより。(撮影:村松巨規)(他10件) 「TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-」は、TEAM NACSのメンバーそれぞれが表現したい世界を形にするソロプロジェクト。安田が企画・プロデュースする第5弾は、坂元裕二脚本、水田伸生演出による二人芝居だ。自身のラブコールが実って本企画が実現した際、安田は「嬉しくて嬉しくて、胸が熱くなりました」と喜びを明かしている。 「死の笛」で描かれるのは、戦場の炊事場で働く2人の兵士の物語。舞台中央には、古めかしい木造の小屋が建てられ、2階部分には伝令用の電話、本棚、机などが置かれている。また、小屋の上部には、チェリストの平松由衣子が演奏を行うスペースが設けられた。 安田と林が演じる兵士は、敵対する別々の国家に所属しながら、隣り合った小屋で生活を送っている。安田扮する五十代の兵士・カノオは、娘を殺害された記憶にさいなまれ、犯人に復讐することを目的に生き続けている人物。林扮する三十代の兵士・ウスダは、ぼんやりとしているが明るい性格で、小屋の外に住む“リップル”という女性に恋をしている。2人に共通しているのは、「聞こえる、した」「仕事をする、しろ」といった一風変わった言語を用いていることだ。 安田扮するカノオは、初めは暗い表情を浮かべながら淡々と業務に専念していたが、林扮するウスダと身の上話をして交流するうちに、笑顔を取り戻していく。2人の兵士がギャグを飛ばしたり、ダンスを踊ったりしながら、楽しげに仲を深めていく様子に、それまで固唾をのんで安田と林の演技を見守っていた客席から、笑い声が漏れた。 しかし、舞台上には常にどこか不穏な空気が漂っている。カノオとウスダが不気味な緑の液体を身体に注入したり、物語の鍵を握る“笛”の音が鳴り響くたびに、会場に緊張感が走る。2人の兵士の生活を2日、3日と追ううちに、彼らの“存在”に隠された秘密が明らかになっていく。 安田はカノオを通じて、兵士が抱えた“生”に対する絶望と希望を見事に描き出した。一方でカノオとウスダが心を通わせるシーンでは、ガラリと雰囲気を変えてコメディに振ったパフォーマンスを披露。林も安田に呼応し、繊細さと大胆さを兼ね備えた演技で観客の心をつかんだ。約2時間、4幕構成の物語を2人きりで紡いだ安田と林は、こぼれる汗をぬぐいながら、充足感に満ちた表情でステージをあとにした。 東京公演は7月14日まで。その後、17日から19日まで北海道のかでる2・7 かでるアスビックホール、24日から28日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演される。 ■ TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-「死の笛」 2024年7月5日(金)~2024年7月14日(日) 東京都 草月ホール 2024年7月17日(水)~2024年7月19日(金) 北海道 かでる2・7 かでるアスビックホール 2024年7月24日(水)~2024年7月28日(日) 大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール □ スタッフ 企画・プロデュース:安田顕 脚本:坂元裕二 演出:水田伸生 □ 出演 安田顕 / 林遣都