温暖化進めば…稲穂が実らなくなる? 「不稔率」最大11%の地域も
農研機構は、温暖化がこのまま進行した場合、水稲は開花期の高温により不稔(ふねん)率が増加し、2050年代には地域によっては最大で11%を超えるとの予測結果を発表した。気象データに基づく予測。高温耐性を付与するなど育種が順調に進めば、この影響を抑えられるとしている。 もみが実らなくなる不稔は、その一因に、開花時期に33度以上の高温にさらされることがある。同機構は、気象データから水田内の穂の温度を推定し、そこから不稔率を予測するモデルを作成。過去の気象と、将来の気象予測に基づいて、日本全国で解析した。 不稔率は通常でも5%ほどはあるとされる。解析の結果、1990年代前半までほとんど影響はなかったが、以降は増加傾向にあり、2020年は全国平均で5・6%で、最大7・9%の県もあった。将来予測では、温室効果ガス削減への取り組み度合いで3通りを想定。ばらつきはあるがいずれも不稔率は増加傾向で推移し、50年代には不稔率は全国平均で5・71%で、最大で11・6%に上る県もあった。 同機構は育種で、涼しい朝に開花する性質や、高温でも不稔にならない性質を付与できれば「少なくとも50年代までは、不稔率の上昇を抑えられる」と説明。一方、不稔が収量減に直結するかは明らかではなく、さらに研究が必要としている。
日本農業新聞