未知の領域に足を踏み入れた人々の心情が交錯…石井裕也監督&池松壮亮の意欲作『本心』人物相関図
『舟を編む』(13)、『月』(23)の石井裕也監督が、平野啓一郎の傑作長編小説を映画化した『本心』が11月8日(金)に公開。主演の池松壮亮に加え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら、豪華実力派俳優陣が集結した本作より、登場人物たちの関係性が明らかになる相関図と場面写真が一挙解禁となった。 【写真を見る】『本心』の登場人物たちの関係性が明らかになる相関図 いまからさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の将来が舞台。亡くなった母の“本心”を知るためにAIで蘇らせるという、テクノロジーの未知の領域に足を踏み入れた青年と、彼を取り巻く人間の心と本質に迫る革新的なヒューマンミステリーが描かれる。 石川朔也(池松)と母、秋子(田中裕子)は2人で慎ましい生活を送る親子。しかしある日突然、「大事な話があるの」と言い残し母が急逝してしまう。その後、朔也は生前の母が自由死を選んでいたこを知り、幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか本当の心を探るため、最新の AI 技術を駆使して「母を作って欲しい」と依頼する。 池松演じる主人公、朔也を取り巻く人間たちの“欲望”に“好意”、“心配”、“疑心”、“羨望”、“共感”など様々な想いが写し出された相関図。急逝した母、秋子の本心を知りたい朔也、秋子と生前親しくしていたという彩花(三吉)、朔也をやたらと気にかける岸谷(水上)、ある事件を境に朔也に羨望の眼差しを向けるイフィー(仲野太賀)、自由死を選び最後の願いを朔也に託す若松(田中泯)、ヴァーチャル・フィギュア(VF)の開発者、野崎(妻夫木聡)、そしてVFとして蘇った中尾(綾野剛)と秋子。様々な心情が交錯するなか、果たしてどこまでが彼らの本心なのか―? 本作は、原作を読んだ池松が全幅の信頼を寄せる石井監督に、「いま、やるべき作品」と企画を持ち込み、俳優歴24年にして「気の抜けない脚本だった。こんなに集中した夏は初めて」と語る意欲作。2020年、この原作が描かれた時は「少し先の将来」だったが、2024年となった現在は物語と地続きなり、フィクションとは思えない真実味を感じさせる。 日々、著しく進化するテクノロジーが世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌していく時代に、AIは人間の本心までを再現できるのか?その欲望が叶う時、“人間の存在”そのものが揺るがされていく。時代に翻弄され、彷徨う人々を描く『本心』を劇場で観届けてほしい。 文/平尾嘉浩