トヨタの佐藤CEO、波乱に満ちた就任1年目-EV失速や不正対応
BIの吉田氏は「これを言ったから競争優位が失われる、損なわれる、弱くなるとは思ってないのだろう」とし、トヨタの自信のあらわれではないかとの印象を持ったという。
トヨタは昨年、グループ全体で世界で1100万台以上を販売し、独フォルクスワーゲンを抑えて4年連続でトップの座を守った。
しかし、昨年末に発覚したダイハツの新たな不祥事で複数車種の生産ラインが一時、停止を余儀なくされたことでその勢いは揺らいだ。この問題を受け、佐藤社長は、グループ全体の再編を視野に入れながら、上層部の再教育などを行うと述べた。
24年は多くの点で好調だった昨年から一転、トヨタにとってやや精彩を欠く年になると投資家は予想している。新型コロナウイルス禍以降の好況は一段落して新しい常態に落ち着き、サプライチェーンも安定すると見込まれている。
需要が低迷する中、市場が注目しているのは世界最大のEV市場である中国での普及を促進するための中国政府の政策対応と、米国の政治サイクルだ。今年の米大統領選でトランプ氏が当選すれば、EVか否かにかかわらず、トヨタなど外国メーカーの自動車を買おうとする米国の消費者の意欲に深刻な打撃を与える可能性がある。米国はトヨタにとって大きな市場であり、売り上げの約35%を占めている。
トヨタを巡る経営環境が変化する中、これまで以上に佐藤社長の真価が問われることになりそうだ。
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Nicholas Takahashi