限界…埼玉県PTA連、脱退が相次ぐ 市町村割合も1/4に急減 組織率は13%、全国的にも珍しい低さに…何があった
■県レベルの組織必要 県教育局の担当課は「事務局員に最低賃金を支払っていなかったので、補助金を出す立場から法令にのっとっていないと注意した。ガバナンスが利いていない」と指摘。元県教育局主席社会教育主事でPTAに詳しい県立小川げんきプラザ所長の八木原利幸氏は「保護者代表として行政に物が言える県レベルの組織は必要。新しくつくり直すか、市町村P連のネットワークの構築が必要だろう」と話した。 ■曲がり角迎える公的団体 「PTAってどんな組織ですか。入らなければいけないのですか」。県教育局をはじめ、市町村教委や各PTA事務局には毎年3月中旬から4月にかけて、相談や苦情電話が多数寄せられる。各校でさまざまな活動が展開される一方で、PTAそのものが今、大きな曲がり角を迎えているようだ。 各校や教委などのPTA関係者らは「コロナ禍を経て、活動や経験、人間関係などが継承されてない」「共働き世帯が増え、役員のなり手も減った」と嘆く。一方で、会計の不適切な処理や運営を巡る問題の指摘が後を絶たない。さいたま市PTA協議会(市P協)は、日本PTA全国協議会(日P)の幹部でもあった元会長による不明朗な支出金を公開するとともに、運営への不信から日Pの退会方針を決めた。
県教育局の担当課によると、PTAは社会教育法に基づく任意の社会教育団体で「公の支配に属さない」とされ、行政が事業に干渉することは戒められている。自主的、民主的な運営が求められるが、未熟だったりするケースも少なくないという。「地域の力を借りたり、効率化を図るなど工夫している学校もあるが、県P連などはもはや限界にきている」と指摘。「行政など公的機関が関われるよう、特別法で新たなスキームをつくることも必要では」と示唆した。 ■PTAと連合組織 保護者と教職員が子どもたちの健やかな成長のために協力する任意の社会教育団体。戦後、学校運営の民主化へ向け、全国各地でつくられた。市区町村や郡市、都道府県単位で連合組織があり、各自治体の教育施策への提言などを担っている。全国組織の協議会は過去に、教科書の無償配布や学校給食などの実現に寄与した。