入管法改正案で永住資格剥奪? 横浜中華街の在日華僑ら反対の声「深刻な差別だ」
次は特別永住者にも?
横浜華僑総会は華僑16団体と連名で「永住者への深刻な差別だ」とする声明を発表。横浜中華街では5月12日、29日、6月3日と法案に関する勉強会が開催された。 親の代から100年余、中華街でテーラーを営んできた張雅齢さん(82歳)は「かつて『中国人は帰れ』と言われたものだが、同じことを政府がやり始めている」とこぼす。同じく横浜生まれの劉燕雪さん(84歳)も振り返る。「戦時中、中国人は警察の許可がないと中華街から出られなかった。疎開も許されず、父は空襲で焼け野原になったまちへ戻された。そんな非人道的な社会に戻ろうとしているのではないか」。 動揺は華僑3世やニューカマーにも広がる。 「悪質なケースに限るというが全ては入管の裁量次第。不安と不平等感が植え付けられる」 「未来を一緒に築いていくことが大事と思ってきたのに」 学校法人横浜山手中華学園の繆雪峰理事長(54歳)は「酷い差別を受けた経験がない世代も日本社会に残る偏見をどこかで感じてきた。信じたくなかった現実を突きつけられた思いだ」と声を落とす。 昨年の入管法改正で難民申請中でも強制送還できるようになり、非正規滞在者の排除が強化された。曽さんは差別・排外主義の高まりを憂い、投げかける。 「永住者にこういうことをするなら次は(旧植民地出身者と子孫の)特別永住者にも同じことをやるだろう。それに慣れたら自国民の中のマイノリティに対してやる。政府のそうした姿勢を日本の国民は感じ取るべきだ。自分たちの立場を危うくする政治を許すのか、自らの問題が突きつけられている」
石橋学・『神奈川新聞』記者