まいにちの食卓は「一汁一飯」でもじゅうぶん。笠原将弘さんが提案する、滋味あふれる汁とめし
恵比寿の日本料理店「賛否両論」の店主であり、メディアで引っ張りだこの料理人・笠原将弘さん。そんな笠原さんのレシピ本は、ちょっとしたコツで誰でも美味しく作れると評判で、出版されるたびに大きな人気を集めています。そんな笠原さんがこのたび上梓した書籍のテーマは、なんと「一汁一飯」! 【写真】「一汁一飯」といってもバリエーションは豊か。アイデア次第で毎日でも飽きない食卓に おかずのいらない、究極の2品献立を紹介する書籍『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』から、笠原さんが「一汁一飯」に込めた思いと3つのレシピを特別にご紹介します。
笠原 将弘(かさはら・まさひろ)さん 東京・恵比寿の日本料理店「賛否両論」店主。1972年東京都生まれ。高校卒業後「正月屋吉兆」で9年間修業したのち、父の死をきっかけに武蔵小山にある実家の焼き鳥店「とり将」を継ぐ。2004年に「賛否両論」をオープン。予約のとれない人気店として話題になる。2013年には名古屋に直営店をオープン。テレビ番組のレギュラー出演をはじめ、雑誌連載、料理教室など幅広く活躍。2023年6月にはYouTubeチャンネル『【賛否両論】笠原将弘の料理のほそ道』を開設。流暢な語り口で調理のコツを惜しみなく解説し、チャンネル登録者数は57万人(2024年3月現在)を超える。
和食のきほん「汁とめし」は、誰でも気軽に作れる
煮物やいため物など、おかずを作る余裕や時間が豊かにある時代ではなかった頃、家庭における汁物は“おかず”でした。季節の野菜をなべで煮る。前日に余った野菜やねり物なんかをちょっとずつ入れると、うまみも加わる。そこにみそをといたり、しょうゆを足したりすれば、具だくさんで栄養価の高い汁のでき上がりで、それと一緒にぴかぴかの白めしをよくかんで味わう。本来、日本の家庭料理とは、そういった滋味あふれるものだったと思います。 多忙が極まった現代。ときには飽食でなかったころの日本に倣い、おかず類は作らず、一汁一飯の「汁とめし」献立を実践してみてはどうでしょうか。ただしそれは、自分の手で作ってみてもらいたいのです。 和食のきほんとも言うべき「汁とめし」ですが、いちばん優れているのが“誰でも気軽に作れる”という点です。近所で手軽に買える食材や、冷蔵庫の残り物で十分おいしく作れます。特別な調味料や道具も使いません。多くのかたに「自分の食事を自分で準備すること」「食べる時間を楽しむこと」を見つめ直すよいきっかけにしてもらえたら、こんなにうれしいことはありません。いま一度、日本の食生活の原点を見つめ直してみませんか。