夏ドラマ16本「視聴率ランキング」 若者には物足りない「科捜研の女24」 “月9バッシング”が起きない「海のはじまり」
クドカンのハイクオリティ
8位:フジテレビ「新宿野戦病院」(水曜午後10時) 14日放送の7回は個人が2.9%、コアは1.4%で7位、T層は0.5%で12位 9位:日本テレビ「GO HOME~警視庁身元不明人相談室~」(土曜午後9時) 17日放送の5回は個人が2.9%、コアは1.1%で9位、T層は0.6%で11位 10位:日本テレビ「マル秘の密子さん」(土曜午後10時) 17日放送の5回は個人が2.4%、コアは1.4%で7位、T層は0.4%で14位 「新宿野戦病院」はクドカンこと宮藤官九郎氏(54)が脚本を担当している。いつもながらのハイクオリティだが、舞台である東京.新宿歌舞伎町の猥雑さを生理的に受け入れられない人がいるかも知れない。 11位:日本テレビ系「降り積もれ孤独な死よ」(日曜午後10時30分) 18日放送の7回は個人が2.3%、コアは2.8%で2位、T層は1.9%で4位 〃 フジテレビ「ビリオン×スクール」(金曜午後9時) 16日放送の7回は個人が2.3%、コアは2.0%で3位、T層は2.6%で1位 両ドラマは、全体値の個人視聴率こそ平凡だが、コアとT層の数字は突出している。若者の支持が分厚いドラマである。個人視聴率とコア、T層にここまで開きがある作品は珍しい。 「降り積もれ孤独な死よ」はこんな話だ。親から虐待を受けている子供ばかりを集め、育てていた男がいた。灰川十三(小日向文世)である。悪さに使おうとしていたのではない。愛情を注いでいた。 この灰川の屋敷で13人の子供の監禁死事件が起きる。主人公の刑事・冴木仁(成田凌)が捜査に着手し、灰川を容疑者として逮捕する。しかし、灰川は留置場内で死んだ。 真犯人は灰川の実子で冴木の後輩刑事・鈴木潤(佐藤大樹)だった。灰川が実子の自分を相手にせず、血縁のない子供たちばかり大事にしたことが動機だった。 この作品は「血縁とは何か」と繰り返し問い掛けてくる。登場人物たちは酷い虐待やネグレクトを受けている。そんな子どもは世間にも珍しくない。答えは簡単には出せない。一見、猟奇ミステリーなのだが、哲学的な作品である。 「ビリオン×スクール」は明るい学園ドラマ。日本を代表する財閥のCEO・加賀美零(山田涼介)が、身分を隠して高校教師になる。目的は教育用AIの開発だった。 配属先はダメ生徒の集まった3年0組(ゼロ組)。加賀美は適当に教師を務めようとするが、日々を真剣に送る生徒たちと接するうち、変わり始める。加賀美の秘書・芹沢一花(木南晴夏)が頼りになる副担任として支える。 少子化によってT層の視聴者が減ったため、学園ドラマは絶滅寸前だが、T層は求め続けているようだ。