愛着ある制服、リユースでバトンタッチ クリーニング店が学校と連携し無料サービス
卒業や進学で使わなくなった制服を無料でクリーニングしてリユース(再利用)する取り組みが広島県呉市を中心に広がっている。小柴クリーニング(呉市)が同市や同県東広島市黒瀬町の中学校と連携して2年前に始め、これまで約3千点が集まった。物価高が続く中、愛着ある品を大切につないでいく「バトンタッチ」に注目が集まっている。 【写真】山口県内でも広がる制服リユース 呉市の40代女性は3月中旬、中学を卒業した娘の制服を同社の店舗に持ち込んだ。ブレザーとスカート、通学かばんを手に「大切に使っていたので捨てるのは心苦しかった。後輩に役立ててもらえたらうれしい」と話した。 リユースの対象は制服や体操服、帽子、靴など。卒業生や保護者が5月末までに同社店舗か母校に持ち込むと、同社が無料でクリーニングして夏に学校へ届ける。学校は文化祭などの行事で希望者に無償か格安で提供する。 2022年度は17校の卒業生から約1300点が寄せられ、23年度の提供は19校から約1500点と拡大した。2年間で計約400点が集まった呉中央中は体育大会や文化祭などで希望者に提供。転校生にも喜ばれているという。坂田恭一校長(60)は「並べるとすぐになくなる。成長期はサイズが合わなくなりやすい。経済的に助かるという声は多い」とする。 総務省によると、制服はこの10年で2割以上値上がりした。23年の平均価格は男子3万5788円、女子3万4026円。体操服などを含めると10万円近くかかるケースもあるという。 今年3月からは呉工高も取り組みに参加。秋の文化祭で希望者に配る予定だ。同社の担当者玉木正典さん(52)は「急激な物価上昇などで今年はさらにニーズが高まりそう」とみている。同社は今後、東広島市全域や広島市にも取り組みを広げる計画だ。
中国新聞社