ヤクルト・長岡秀樹が2季ぶり4安打「一打席一打席、大切にいっている」 2戦で7の7!
お母さん、いつもありがとう―。ヤクルトは12日、巨人8回戦(神宮)に3―1で逆転勝利した。「母の日」仕様で各選手がピンク色の用具を着用する中、「2番・遊撃」で先発した長岡秀樹内野手(22)が、1点リードの八回に右前適時打を放つなど4安打1打点と大活躍。千葉・八千代松陰高2年時の2018年に、白血病を患った母・綾子さん(56)のドナーとなった背番号7は、また一回り成長した姿を見せた。 【写真】高津監督とハイタッチを交わすヤクルト・長岡 大歓声を受けた背番号7は、優しい笑顔で応えた。今季2度目となる2番で起用された長岡が、八回2死一、二塁で右前適時打。終盤でリードを広げる貴重な一打を放ち、神宮のお立ち台に上がった。 「うれしいですね。一打席一打席、大切にいっているので、いい結果がついてきてよかった」 打ち出の小づちのように、快音が止まらない。前日11日にも3安打で猛打賞(1試合3安打以上)をマークしており、この日は2シーズンぶりの1試合4安打を放ち、2戦で7打数7安打。打率はリーグ3位の・298に上昇した。一回には左翼線への二塁打、三、五回もともに左前へ運び、好機で回ってきた八回の第5打席は初球の内角高め直球を見事に打ち返した。 特別な日に輝いた。12日は「母の日」。「NPBマザーズデー2024」として、選手たちはピンク色の用具を着用して出場した。長岡もブランドアンバサダーを務めるミズノ社製の特別仕様のスパイクを履き、躍動した。 母との絆は強く、深い。長岡が千葉・八千代松陰高1年だった2017年8月。母・綾子さんが血液のがん「白血病」であることが判明。医師から「骨髄移植をしなければ死んでしまう」と宣告され、家族の中でも、適合するドナーになる可能性があったのが長岡だった。18年3月13日に手術は無事成功。母子で乗り越えた危機だった。 6年がたち、長岡は今やスワローズを勝利に導く立派な〝孝行息子〟に成長。母の日のプレゼントは考え中だが、プロ入り間もない頃の休養日に寮から千葉・船橋市の実家まで送迎してくれた母への感謝は尽きない。「僕もいろいろあったので、当たり前に過ごす日常は当たり前じゃないとすごく感じましたし、今この時間を大事にしたいなという気持ちが強い」と元気にグラウンドに立ち、白球を追えるありがたみを痛感する。 「『ありがとう』と言えていないので、帰ったらちゃんと言いたい」と長岡。7番を背負った背中が、また少し大きく見えた。(赤尾裕希)