新型ステルス戦闘機「J-35」や「J-20」が登場。中国の最新兵器が一同に会した同国最大の航空ショーを現地よりレポート
11月12日より、中国南部珠海市郊外の珠海金湾空港において中国最大の航空ショー「中国国際航空航天博覧会(略称:中国航展)」が、今日17日までの日程で開催されている。最新のステルス戦闘機「J-35」や「J-20」が展示されるなど、中国の航空宇宙技術の発展を大きくアピールする同イベントを、現地からリポートする。 TEXT & PHOTO:綾部剛之(AYABE Takayuki) ステルス戦力を急速に拡大する中国 中国航展は、開催地から珠海エアショーとも呼ばれている。隔年開催のイベントで今年は15周年の節目の年を迎える。中国国営の航空宇宙企業「中国航空工業集団(AVIC)」を中心に、大小の国防関連企業が出展し、中国の最新軍事技術が披露された。注目されたのは初公開となったステルス戦闘機「J-35」だ。「J-20」に続く、中国2機目の国産ステルス機であり、J-20より小ぶりな機体となっている。空軍のほか、海軍でも空母艦載機として配備される見込みであり、アメリカ軍におけるF-35のような役割に相当するかもしれない。輸出も想定されていると言われているが、この点もF-35と同様だ。F-35が世界的ベストセラーとなっているなかで、これに対抗するためステルス戦闘機を欲する国は少なくないだろう。 中国の最新兵器が一同に会した同国最大の航空ショーを現地よりレポート(画像はこちらから全9枚) 国産初のステルス戦闘機J-20も、大きくアピールしている。連日にわたって飛行展示が行なわれたほか、AVICブースでは複座型「J-20S」の模型がお披露目された。日本のSNS上では同機をポンコツと侮る声もあるが、すでに推定で200機近くが配備されているといわれており、実用戦闘機として充分な性能を持つことは間違いないだろう 非ステルス機でも能力向上が著しい 中国軍戦闘機としてはJ-35やJ-20などのステルス機のほか、ソ連/ロシア製Su-27を国産化したJ-11系統の最新モデル、「J-15T」や「J-16」の展示飛行も行なわれた。J-15は空母艦載機であり、従来のJ-15がスキージャンプ発艦式空母用であったのに対して、T型はカタパルト発艦式空母に対応するものとなった。これは中国三番目の空母であり、初のカタパルト式空母「福建」の建造に対応したもので、中国空母戦力の増強を示している。また、J-16は複座の多用途戦闘機で、国産のアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーや各種電子機器を搭載する。その性能は本家ロシアのSu-27発展型機を上回るとも言われている。 中国との連携に期待するロシア ウクライナ侵攻以降、西側とは断絶状態にあるロシアだが、中国との関係はいまも深い。それを象徴するように、今回のエアショーでも同国の最新ステルス戦闘機「Su-57」やアクロバット・チーム「ルスキエ・ヴィチャージ(通称:ロシアン・ナイツ)」による展示飛行が行なわれた。開催3日目にあたる11月14日には突然、ショイグ前国防相が会場を訪問するなど、対中連携の強化や兵器輸出の拡大を目論む同国の思惑が透けて見える参加となった。 さて、今回は飛行展示された航空機を中心に中国航展をレポートしたが、来週日曜日更新の記事では最新のドローン/対ドローン技術など、注目すべき兵器技術について解説したい。
綾部 剛之