佐賀新聞・白石販売店の夫婦、お手柄 配達中に脳梗塞の女性を保護 勝手口を開けたまま午前2時すぎに一人で歩く
ことし8月、白石町で新聞配達をしていた夫婦が、未明に一人で歩いていた女性を見かけて家に送り届けた。女性は脳梗塞を発症していてその日のうちに入院したが、無事に回復。10月1日に結婚50周年を迎え、女性を救った佐賀新聞白石販売店の店主が24日、「金婚さん表彰状」を届けた。元気になった女性は夫と共に「見つけてもらわなかったらどうなっていたことか」と、笑顔で感謝を伝えた。 女性は白石町東郷の稲富節代さん(80)。8月22日午前2時すぎ、自宅近くの道を一人で歩く姿を、車で新聞を配っていた久野亜希子さん(54)が見かけた。勝手口のドアが開いたままの配達先があったため不審に思い、女性を探すことに。しばらくして見つけ、近くで配達していた夫の白石販売店主・和俊さん(54)に連絡した。 駆け付けた和俊さんが、節代さんに身元や住まいなどを尋ねた。夫が「ひろゆき」さんと分かったことで、勝手口が開いていた家が自宅と特定でき、亜希子さんが車で送り届けた。 節代さんから事情を聞いた夫の宏幸さん(81)は、これまで2回の脳梗塞で普段はしない行動を取っていたことを思い出し、病院に連れて行った。即日入院して20日間ほど治療を受け、元気を取り戻した。 稲富さん夫婦は10月1日が結婚50周年だった。16日には白石町で佐賀新聞の金婚さん表彰式があったが、節代さんの体調を考えて出席を見送っていた。その話を聞いた和俊さんが「表彰状と記念品だけでも」と、自宅に届けた。 「どこに行ったか分からなくなるところだった。本当にありがとうございました」と笑顔の稲富さん夫婦。「新聞がたまっている時に大丈夫か心配することもある」と、ちょっとした変化にも注意しながら配達しているという久野さん夫婦も「こんなことは初めて。何より元気になられてよかった」と喜んだ。(小野靖久)
小野靖久