10~20代の若者に大人気!リゾートバイト.com代表に聞く、短期間で働ける「リゾートバイト」の魅力とは?
世の中にはたくさんの仕事が存在するが、近年応募者が続出しているのが「リゾートバイト」だ。これは1週間~3カ月程度の期間で、沖縄や北海道、熱海、軽井沢といった日本各地のリゾート地にあるホテルや旅館で働く仕事のこと。 【写真】株式会社グッドマンサービス 代表取締役の月花拓美さん 最近ではコロナ禍が落ち着き、円安によるインバウンドが増加したことで観光業が好況になっている状態。それと同時にリゾート地の従業員募集も増加していて、長期休暇中の大学生やまとまったお金を稼ぎたい若者にぴったりの仕事として人気を集めている。 今回は、リゾートバイトの募集を掲載する「リゾートバイト.com」を運営する株式会社グッドマンサービス(以下、グッドマンサービス)代表取締役の月花拓美さんに、この事業を始めたきっかけや近年のリゾートバイトの状況、短期集中で働くことの魅力などについて話を聞いた。 ■短期集中の仕事に魅力を感じ…。「リゾートバイト.com」誕生秘話 ――はじめに、月花さんが現在の事業を始めることになったきっかけについて教えてください。 【月花拓美】私がリゾートバイトの事業を始めることになったのは、1991年に新卒で入った会社を退職して1回目の転職活動をしていたころの経験がきっかけです。当時はインターネットがなく、転職の情報収集は週に一度発行される雑誌が頼りでした。その雑誌に掲載されている会社に電話して、面接に赴く流れが一般的でしたね。その雑誌に気になる求人がなければ、次週まで待たなければいけませんでした。 【月花拓美】このころにもリゾート地での住み込み形式のアルバイトはありましたが、夏休み以外は長期のものが多く、1~2カ月という短期間のものはなかったですね。転職活動をしているとだんだんお金がなくなってくるし、不安とストレスが募る一方でした。ですが、アルバイトを応募しようにも半年~1年以上の期間での募集がほとんどだったため、しばらく無収入のままでした。 【月花拓美】そして、2回目の転職のときにリゾートバイトという言葉を知りました。その際に「学生のころや1回目の転職活動のときに、こういう仕組みがあればよかったのにな」とすごく思いました。そして、短期間でまとまってお金を稼ぐことができるリゾートバイトに可能性を見いだして、人材派遣系の会社に転職を決めました。 ――月花さんが現在の事業をしているのには、過去の経験があったからこそなのですね。 【月花拓美】そうなんです。しかし、当時のリゾートバイトといえば旅館の仲居さんの募集がメインで、今のようなホテルのウェイトレスやラウンジ、カフェ、レストランなどの職種は多くありませんでした。ですが、働き手側からは仲居さん以外のさまざまな職種に応募したいという声が上がっていたんです。 【月花拓美】当時は、レジャー施設側が独自で募集を出して働き手を集めていたのですが、「これを一手にまとめてみてはどうだろうか」と思い、起業して「リゾートバイト.com」というサービスを立ち上げるに至りました。その後、だんだんと単体での募集よりもサイトでの一括募集の形が上回って一般化していき、リゾートバイトという言葉も次第に浸透していくようになりましたね。 ■リゾートバイトが若者に大人気の理由とは? ――リゾートバイト.com では、現在どのような目的で応募される方が多いのでしょうか? 【月花拓美】10代~30代の学生やフリーターの方がメイン層になりますね。短期間でリゾート地を体験してみたい、夏休みの思い出を作りたいという方が多いです。また、将来的に観光業への就職を考えてキャリアアップのためにいく方もいますね。あとは、家庭環境や今の生活環境を変えたいとリゾートバイトを始める方もいます。 【月花拓美】私たちが一番求めているのは、短期でしっかり働いて貯金をしたいという方々です。この仕事の最大のメリットは、住み込みで寮費食費が無料であるところです。そして、2~3カ月で仕事が終わるので、次の目的のために働くことができるのです。たとえば、海外への留学費用を貯める、東京で一人暮らしをするための引っ越し費用を貯める、などですね。 ――目的のために短期集中で貯金できるのはすごくいい仕組みですね。 【月花拓美】就業先にもよりますが、3カ月程度の勤務で平均50万円くらいは貯金できる方が多いですね。リゾート地は都会のように遊ぶ場所が少ないですし、家賃も食費もかからないのでお金を使う場所もありません。なので、お金を貯めるにはぴったりの環境なんです。たまに、リゾート地を気に入ってそのまま就職する人もいますが、ほとんどは目的の貯金額を貯めて、自分の次の目標に向けてリゾートバイトを辞める方が多いですね。 ――リゾートバイト.comではどのような職種の募集が多いのでしょうか? 【月花拓美】一番はホテルや旅館でのサービス業ですね。レストランのホールやキッチン、仲居さんなどです。大きいホテルだとさまざまな部門があり、人手がたくさん必要な場合も多いので短期バイトの需要が多いです。また、地方だと若者が少なく、ホテルのフロントなどの職種を彼女らに任せたいという施設もありますので、とても重宝されます。 【月花拓美】一方で、リゾートバイトの弱点はどんな職場か行ってみないとわからないというところです。なんせ下見をするだけでも交通費がかかってしまいますからね。弊社サービスでは施設側に事前ヒアリングを行い、どのようなリゾート地か、どのような職場かがわかるような写真や文章を掲載し、雇用側と労働側のミスマッチができる限り少なくなるような工夫をしています。 【月花拓美】ただし、どうしても職場環境やほかの従業員と合うかどうかは働いてみないとわからないので、そこは賭けになってしまいます。働き手から弊社への相談については場所の苦情などはあまりなく、ほかの人との人間関係がほとんどですね。しかし、これはリゾートバイトだけでなく、雇用形態や職場にかかわらずどこでも起こりうる問題なので、こればかりは仕方ないことだと思っています。 ■10~20代がこぞって参加!浸透するリゾートバイト ――最近の傾向としては、どのようなリゾートバイトの形式が人気なのでしょうか? 【月花拓美】10年ほど前は1カ月~3カ月と月単位でがっつり休まず働きたいという方が多かったのですが、最近は1週間単位での応募がすごく多くなっています。7月現在は大学生の応募が多く、「夏休みの1週間だけ働きたい」という方が大半です。「いっぱい稼いでいっぱい遊ぶ」というよりも「ちょっと体験してみたい」という傾向になってきているのが特徴ですね。 【月花拓美】あとは時期にもよるのですが、夏は沖縄への人気が非常に高まるので早い者勝ちになります。最近は沖縄が建設ラッシュの真っ最中ということもあり、募集もとても多くなってきています。また、北海道も安定的に人気がありますね。募集としては通年行っているのですが、夏休みシーズンと冬のスキーシーズンは特に盛り上がりますね。 ――また、コロナ禍も落ち着いて観光業も復活してきていますが、その辺りの影響はいかがでしょうか? 【月花拓美】一時期に比べて募集が非常に多くなっており、弊社の売り上げも2022年度比で160%伸長しました。コロナ禍の影響もありますが、弊社が行ったマーケティング戦略が功を奏したこともあります。おかげで、リゾートバイトの応募者を大幅に増加させることに成功しました。 【月花拓美】弊社ではマーケティングチームを結成し、リゾートバイトを知らない層やなんとなく知っている層の分析を行いました。そして、彼らに向けた情報発信をできたことが一番の要因だと思っています。また、弊社は業界No.1の好条件を謳っているのですが、その辺りもしっかり訴求できたことも大きかったと思いますね。 ――貴社がアプローチした年齢層はどのあたりなのでしょうか? 【月花拓美】ひと昔前は20~30代がメイン層だったのですが、最近では10代の応募者が圧倒的に増えましたね。やはり、日本社会全体で労働者の賃金が上がっていないことが原因のひとつだと思います。それと、最近ではSNSにきれいな風景をアップロードするためにリゾートバイトを選ぶ方もいますね。若者のフットワークがとても軽くなっていることもあるかと思います。 【月花拓美】これまで、親の反対があってリゾートバイトに行けない10代の方たちが多かったのですが、最近では親世代にもリゾートバイトの概念が浸透し、応募者の背中を気軽に押してくれているようです。住み込みで働くことのハードルがだんだん下がってきているのも、この形式が広まっている要因ですね。 ■「夢の実現を応援する」を掲げるグッドマンサービス ――今後、リゾートバイト.comにおける将来の展望を教えてください。 【月花拓美】最近は日本から留学する人がかなり減っています。その背景には、世帯年収が上がらずに親御さんが留学費用を捻出できないという問題があります。そこで、留学費用を貯めるために弊社サービスを利用してほしいという想いを叶えるべく、留学の会社とのコラボを企画しています。リゾートバイトに参加すると特典がつくというようなサービスを展開する予定です。 【月花拓美】弊社サービスは「夢の実現を応援する」をコンセプトに掲げています。利用される皆さまがリゾートバイトを通して夢を叶えていただくのが事業を行う目的であり、理想です。そのため、ぜひ弊社を活用して、夢や目標を叶えるための一歩を踏み出していただきたいです。 ――ありがとうございます。最後に、これからリゾートバイト.comを利用する方に一言お願いします。 【月花拓美】リゾートバイトと聞くと「ホテルや旅館って厳しいんじゃないか」と思われる方も少なくないかもしれませんが、実際に働いている方の90%が未経験者です。ですので、心配せずにどんどんチャレンジしてもらって、皆さまの夢を実現する手段のひとつとして活用してください! 取材・文=越前与