ホロライブ・AZKiが4年7ヶ月振りの現地ワンマンであらためて歌に込める「感謝」と「恩返し」
VTuberグループ「ホロライブ」0期生のAZKiが2024年7月24日にメジャー1stアルバム「Route If」をリリース。それに続くワンマンライブ「AZKi Major Debut LiVE『声音(こわいろ)エントロピー』」が2024年8月3日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにて昼と夜の2部制で開催された。 【写真を見る】ワンマンライブ「AZKi Major Debut LiVE『声音(こわいろ)エントロピー』」を開催したAZKi 「開拓者」という愛称で呼ばれるAZKiのファンたちが待ち受ける中、まず会場に流れたのは、ライブのスタートを告げるカウントダウンムービー。ホーンとピアノを取り入れたジャジーなサウンドとサイバー空間をイメージさせるグラフィックで構成されたその映像には、20181115、α、β、γ...といった開拓者であればピンとくるであろうワードが散りばめられており、会場の熱気も徐々に高まっていく。カウントダウンに続いてAZKiの姿がステージに映し出されると観客から大歓声が上がり、メジャー1stアルバム「Route If」の1曲目でもある「Lazy」で昼公演は幕を開けた。 「Lazy」で語りかけるような静かな歌声を聞かせた後、AZKiのライブではおなじみの「行くよ、開拓者」というフレーズをきっかけに流れ出したのは2曲目「in this world」。会場のボルテージも急上昇し、無線制御によって会場の照明装置と連動するペンライトが色とりどりに輝く中、「in this world」「最強×最弱ガール」のポップチューンをAZKiは伸びやかに歌い上げる。 続くMCパートでは、現地会場でのワンマンライブが4年7ヶ月振りとなることにAZKiが思いを馳せ、会場からの応援の声を受けて「もう泣きそう。こんな序盤なのに」と泣き笑いの表情を見せる場面もあった。MCを終えたAZKiは探偵帽をかぶった姿でステージに現われ、「map in the cup」「FreeGeo」の2曲を披露。この探偵帽は、位置当て謎解きゲーム「GeoGuessr」のゲーム配信でファンにはおなじみの小道具でもある。 続いてアルバム「Route If」から「エトランゼ」をしっとりと歌い上げるとMCパートを挟んで、ホロライブの全体ライブでおなじみのブライト衣装にチェンジ。「まいすとらてじー!」「リアルメランコリー」「ω猫」をキュートな振り付けとともに披露し、AZKiのゆるっとしたかわいさが爆発する。 メジャーデビューEP「3枚目の地図」に収録されたバラード「藍深く」は、AZKiが純白のドレスに身を包んでステージ上に登場。透明感のある歌声が会場に響きわたった。さらに、16歳の日常と葛藤を切り取ったボイスドラマという演出を盛り込んで、ドラマに続く形で「画⾯の中の君が好き」を披露する。歌い終えた後のMCでは、推しを応援する気持ちを歌った「画⾯の中の君が好き」の歌詞と重ね合わせつつ、チャンネル登録者数100万人突破などの最近の出来事を振り返って「みんなにいっぱい叶えてもらえました」とファンに感謝を伝えるAZKi。その気持ちを歌に込めて、終盤の3曲「エントロピー」「オーバーライト」「エンドロールは終わらない」を全力で駆け抜けていく。アンコールでは、ライブTシャツに着替えたカジュアルな姿で「いのち」「フェリシア」を歌い上げ、昼公演は終了した。 昼公演のMCでAZKiが「あとねあとね、昼と夜でセトリ全然違うんだよぉ~」と宣言した通り、夜公演はセットリストをほぼ一新。昼公演と夜公演で共通するのは2曲のみという、ファンには嬉しいステージ構成となった。 夜公演は昼公演と同じく「Lazy」でスタート。「ちいさな⼼が決めたこと」「明けない夜があったなら」の2曲を歌いながら、AZKiが「みんな、夜公演も盛り上がっていくぞー!」と叫び、夜公演の会場も一体感が急上昇。さらに、新アルバム「Route If」のロックチューン「Chaotic inner world」と「Fake.Fake.Fake」の2曲で、AZKiはアクセルをさらに踏み込んでいく。 続いて「午後8時のコーラスソング」のイントロが流れると、会場に向かっておどけたポーズをとりながら「これ、準備できてる?」と語りかけるAZKi。自身のショート動画でコール&レスポンスの課題曲のひとつとして紹介していたのが「午後8時のコーラスソング」のコーラス部分で、ライブ当日は会場と配信コメントが一体となって大きなコーラスが生まれていた。さらに、アップテンポで楽しさいっぱいの「Operation Z」「猫ならばいける」と続き、会場にはハッピーなオーラが満ち満ちていく。また、昼夜の両公演を通して、生バンドによる厚いサウンドと、無線制御のペンライトによる光の演出が、会場内の一体感とエモさを強力に引き立てていたのも印象深い。 夜公演が後半に入ると、ここまでのアッパーなムードから一転、しっとりとした曲調の「夜の輪郭」「⻘い夢」を落ち着きのある確かな歌唱力で歌い上げるAZKi。「エントロピー」では、自身のこれまでの歩みを振り返るような筋立てのボイスドラマと併せる形で曲の世界観を表現した。思い出を噛みしめるように「AZKiも歌いながら込み上げてくるものがたくさんあった。泣いちゃう」と語った後、その思いをたっぷりとのせて「without U」「from A to Z」「afterglow」を歌唱。アンコールでは、昼公演に呼応するように「いのち(2024 ver.)」を選曲。最後のアンコール曲として「Creating world」を歌い、夜公演を締めくくった。 ときのそら、星街すいせいらとともにホロライブの"歌姫"の一翼を担うAZKiだが、ここまでの道程は順風満帆なものではなかった。プロジェクトの消滅やホロライブへの移籍といった紆余曲折を経て、2024年にチャンネル登録者数100万人を突破。そうした経緯を踏まえて、AZKiはこのライブ中に思いを吐露している。 「今年はいろんなことがあった。100万人も開拓者のみんながいたおかげで達成できた目標です。このステージに立ててるのも、活動がこうやって続いているのも、開拓者のみんなのおかげです。一度は終わってしまう予定だったAZKiが今ここに存在しています」 ライブの最中にAZKiが何度も口にしていたのは「感謝」と「恩返し」という言葉。感極まって泣きそうになりながら、それでも泣き崩れることなく笑顔で歌いきったのは、彼女なりの「感謝」と「恩返し」だったのかもしれない。 なお、「AZKi Major Debut LiVE『声音(こわいろ)エントロピー』」は、9月11日(水)までアーカイブ配信がおこなわれるほか、9月17日(火)・18日(水)に東京・豊洲PITでの追加公演が決定している。 取材・文=editaholic カメラマンクレジット=高橋まりな
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