外国人にもわかりやすい相撲の魅力 大阪・なんばにインバウンド向け体験型ショー施設「ザ・スモウホール日楽座オオサカ」
【バズる関西トレンド】 大阪観光局によると、2024年1~4月に大阪を訪れた外国人客は455万9000人で5年ぶりに過去最高となった。関西国際空港国際線の外国人旅客数も過去最多で前年同月に比べて65%増加。とりわけ市内の玄関口となる大阪ミナミは、インバウンド消費で活況を呈している。 さらなる需要拡大が見込まれるなか、インバウンド向けのエンターテインメント施設が5月30日、大阪・なんばパークス8階に開業した。その名も「ザ・スモウホール日楽座(ヒラクザ)オオサカ」。日本の伝統文化の一つ、相撲の魅力に直に触れられる日本初の体験型ショーホールだ。 実寸大の土俵ステージで繰り広げられるショーは全編英語で進行。第一部では、神話の世界のなかでの相撲の精神を、元大相撲力士たちによる圧巻のパフォーマンスと幻想的な映像、音楽、照明で表現される。出演力士は大相撲で経験を積んだ実力派揃いで、ハリウッド映画やCMでも活躍中の力士俳優、田代良徳さんの姿も。カナダ人落語家の桂福龍さんによる軽妙なトークを交えた英語の司会も見どころだ。 30分の途中休憩をはさんで第二部では、力士たちと交流体験ができる。大声を上げて応援したり、笑ったり、大相撲ではなかなかできないことがココで体験できるのが特徴だ。四股や股割りなどの稽古風景を披露した後は、相撲のルールと技を英語で解説。コミカルな表現で禁じ手を説明するなど外国人にもわかりやすいパフォーマンスがウケていた。 メインは力士たちの迫力満点の取組が間近で見られるトーナメント試合。真剣勝負の結果、この日は TOMAこと當眞嗣斗さんに軍配があがり、スポンサーから賞金と酒樽が贈られた。抽選で選ばれた観客には、実際に土俵の上で取組に挑戦できるプログラムも用意。相撲スーツとカツラを着けて土俵に上がった若い外国人女性は、力士に振り回されながらも最後は上手投げを決め、笑顔で記念撮影を楽しんでいた。 パフォーマンスは18時と21時開演の1日2公演で、上演時間は約60分。料金は、最前列で力士たちの気迫とパフォーマンスを満喫できるS席1万6000円~。185席全席に大阪のローカルフードを詰めたオリジナルの幕の内弁当「日楽座弁当」とドリンクが付いている。ショーを観覧しながら弁当を味わうという日本ならではの鑑賞文化を体験できるのも外国人にとっては新鮮なよう。休憩時間中に力士と記念撮影をしたり、土産コーナーでオリジナルの相撲グッズを買ったり、他では体験できないサービスでインバウンド需要を取り込みたい考えだ。
相撲エージェンシー会社の社長でもある田代さんは「コロナ禍前から年間200回ほど相撲ショーを開いていた。世界に大相撲の魅力を伝えて大阪から日本を元気にしたい」と語る。同施設は、営業時間を夜に設定することでオーバーツーリズムの課題解決にもつなげたいとしている。(フリーライター・橋長初代)