豪雨浸水の集落、防災集団移転へ 世帯の9割超が賛成 山形県戸沢村
7月下旬の記録的な大雨で被災した山形県戸沢村は26日、最上川の氾濫(はんらん)で甚大な浸水被害を受けた蔵岡地区(69世帯)の住民アンケートで、9割以上が集団移転に賛成したと発表した。これを受け、村は集団移転を進めることを決定。村の復興は大きな節目を迎えた。 【写真】集団移転への賛否を尋ねたアンケート結果を説明する加藤文明村長(左)=2024年9月26日午後3時8分、戸沢村役場 村は19日に開いた住民との意見交換会で、防災上安全な場所への集団移転を促す国の「防災集団移転促進事業」への賛否などを尋ねるアンケートを配布。25日までの回答を求め、賛同が7割以上なら集団移転を進めると説明していた。 アンケートは全世帯から回答があった。村によると、集団移転事業については、「賛同」、「条件が合えば賛同」が合わせて9割以上にのぼった。移転先については、7割が集団移転先、2割は集団移転先以外と答えた。今後の居住先については、1割強が「蔵岡に住み続けたい」と答え、9割弱が「蔵岡以外に住みたい」と答えた。自由記述欄では、高齢者のための集合住宅の建設を求める意見や、スピード感をもって進めてほしいとの意見があったという。 加藤文明村長は会見で、90%以上の賛成があったとして「集団移転に向けて国、県と十分協議して進める」などと述べ、移転先は水害の心配がない村内の高台を想定しているとした。今後は全世帯の賛同をめざして丁寧に説明し、理解を求めるという。 集団移転の推進が決まり、住民には安堵(あんど)の表情が広がった。仮設住宅に夫婦で入居予定という男性(82)はこの日、2階近くまで水没する被害を受けた自宅の前で「何回も水害にやられ、もうここには住みたくない。早く集団移転を進めてほしい」と話した。(清水康志)
朝日新聞社