やす子「きみの色」で声優初挑戦「何をやっても、やす子」トラウマ乗り越えた 自己採点「81点」
やす子(25)が、山田尚子監督の最新アニメ映画「きみの色」(8月30日公開)で声優に初挑戦したことが12日、分かった。鈴川紗由(18)演じる、子どもの頃から人が「色」で見える高校生・日暮トツ子が”森の三姉妹”と名付けた寮のルームメートで、食いしん坊の百道さくを演じる。やす子は「今、私は25歳ですが40歳、60歳、と歳を重ねた際にまた見たいなぁと思いました。声優デビューがこの作品でよかったです! 映画館に81回見に行きたいと思います! はい~!」と、十八番のギャグを絡めて喜びをあらわにした。 ◇ ◇ ◇ やす子は、今年4月公開の米国・カナダ合作のアニメ映画「映画 きかんしゃトーマス 大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル」で、掘削機ダーシーを演じたが、23年8~9月にアフレコを行った「きみの色」が、声優に初挑戦した作品となった。山田監督とスタッフが、役に合うと判断してオファーし「芸人になって、やってみたいというのが夢の1つだった」と、声優へのチャンスをつかみ取った。 「選んでいただいた理由の1つが、声に特徴があるということだったので、やす子じゃないけど、やす子みたいな、個性を残しつつできたらいいな、悪目立ちしたら嫌だなと」と「はい~!」と口にする、強めのキャラクターが出過ぎないよう熟慮したと明かした。一方で、アドリブでは「はい~!」が出そうになって、大ピンチだったと振り返った。「アドリブの部分で、間違えて『はい~!』と言いそうになって、ちょっと怖かったです。『これ、やす子じゃないから』ってなりました」と苦笑交じりで振り返った。 これまで、演技には“トラウマ”があったという。「ナレーターはやったことがあるけれど、文を読むのとは違う。人の気持ちを考えて、しゃべったことがなくて。コントをやったり、ドラマに出ても『やす子は何をやっても、やす子だ』と言われてから、あまり演技ができなかった」。 そうした、やす子の演技に対する心の壁を崩し、解き放ったのが、山田監督とスタッフの役どころについての的確な説明、優しい演出とサポートだった。「『さくは、トツ子が心から話せる友達だよ』と、バックボーンを聞かせていただいたおかげで、マイクの前に立つ際に整えてくださった。監督とか音響の方から丁寧に指示があって、そこに向かってやっていた」とアフレコを振り返った。 さくが急いでいるシーンは「走ってやって良いですよ」と言われたといい「ここまで、動いていいんだと思った。(さくが)動いている時は、同じ動きでやりました」とアフレコの様子を説明。一方で、苦労した点を聞かれると「普段から『適当にしゃべってる?』とか『あまり、感情がこもっていないね』って言われがち。トツ子が修学旅行を休むシーンで、声だけで心配するの(演技)が難しくて何度も練習し、徐々に形になった」と振り返った。 実は、女子校の軽音部を舞台に描いた、かきふらい氏の4コマ漫画を山田監督がアニメ化し、09、10年に放送され、社会現象的な人気を呼んだ「けいおん!」に影響を受け、高校時代にギターを買ったという。「けいおん!」は、11年に映画化もされた人気シリーズで「学生の時から断トツで好きなのが『けいおん!』ですね。高校時代の思い出としては大きいですね。高校時代より前の作品だったんですけど、友達が軽音楽を『けいおん!』のピックがきっかけで始めて、自分もギターを買って…高校時代の思い出の1つとしては大きいと思います」と明かし、声を踊らせた。 アフレコを終え「超難しいのと超楽しい」という2つの、正反対の印象を持ったという。自己採点を聞くと「81点です!」と即答し「『はい~! はい~!』だけで仕事、いただいていますから」と笑い飛ばした。山田監督は「アフレコでは、とにかく楽しそうに、さくと向き合ってくださった、やす子さん。彼女から生まれる、さくは何ともかわいらしく、幸福感に満ちていてアフレコ現場が笑顔であふれました」とコメントした。 ”森の三姉妹”の1人・七窪しほを、山田監督の16年「映画 聲の形」、前作となる22年のテレビアニメーション「平家物語」に出演した悠木碧、八鹿スミカを「けいおん!」シリーズに出演した寿美菜子が演じた。また、高石あかり(21)が演じたトツ子がバンドを組む作永きみと2人で暮らす祖母紫乃を、山田監督作品に初出演となる戸田恵子(66)が演じた。今回、出演を発表された声優陣は、コメントを発表した。 やす子 収録当時は人生で初めての声優デビューでしたのでとても緊張しました! 同時にずっとやってみたかった声優さんができて本当に本当にうれしかったです! お声掛けを頂いた際に、「あの『けいおん!』の山田監督!?」となるほど『けいおん!』が好きでしたので恐れ多くも大感激、テンションHIGH~!でございました!『きみの色』は、美しく、繊細で、色とりどりでとても素適な映画です! 今、私は25歳ですが40歳、60歳、と歳を重ねた際にまた見たいなぁと思いました。声優デビューがこの作品でよかったです! 映画館に81回見に行きたいと思います! はい~! 悠木碧 平家物語に引き続き、山田尚子監督の作品に参加できることを心からうれしく思います! 本作も、繊細な演出で描かれた登場人物の心情がとても印象的で、きっと皆さんも上映後には心が温かくなるんじゃないかなと思います! そんな世界観の中で、主人公トツ子の友人・しほを演じさせていただいております。自分の学生時代を思い出しつつ、今学生だよという方にも、いつか学生だったよという方にも、ちょっと自分事に捉えてもらえたらいいなぁと思いながらアフレコしておりました。 学校でいつも一緒にいる友人の安心感を感じていただければ幸いです! 音楽と学生はさまざまな作品で描かれてきたテーマですが、山田監督の作品らしさ全開の個性的な1作になっています! 間違いなく、人を好きになれる作品なので、是非劇場でお楽しみください! 寿美菜子 映画「きみの色」で、スミカを演じさせてもらいます寿美菜子です。今回は、大好きな山田監督作品に「けいおん!」ぶりに出演することができて、とってもうれしいです。山田さんは、とにかくキャラクターを愛して楽しく制作してくださるので、現場の雰囲気もとても温かく、作品にスッと入ることができました。私演じるスミカは、主人公・トツ子の仲良しグループの1人です。ギャル味がありますが根は優しい子。山田さんとも「こういう子居ますよね」と意気投合しながら臨ませてもらいました。山田さんは割とキャラと役者さんを重ねて見てくださることが多いので、自分にもそういった要素があって今回オファーしていただけたのだとしたら、とてもうれしいです(笑)今作はタイトルにもあるように「色」が本当に美しく、そして心に残る中毒性のある音楽。ぜひ劇場でお楽しみください。 戸田恵子 山田尚子監督の作品に初参加です。大変うれしく思っております。収録日に監督とも初めてお目にかかりました。監督然とはしてなくて、めちゃくちゃかわいらしい方でした。私のおばあちゃん役を気に入って頂けたようでホッとしました。おばあちゃんはきれいでファンキーで優しいおばあちゃんです。映画は観ているとどんどん浄化されていく、そんな作品でした。とても柔らかなタッチで描かれていて、プリンシパルの3人は魅力にあふれていて、3様の面白さがありそして共通項もあります。収録した日の私は「水金地火木土天アーメン」このフレーズをずーっと歌ってました。映画を観て歌って帰るなんてすてきじゃないですか? すてきなシーンがあり過ぎてうまく言えないのですが、テルミンの音色に癒やされました。3人の演奏シーンは感動です。そして、物語のクライマックスに感涙します。トツ子ちゃんはとにかくキャワイイ。トツ子ちゃんにいつまでも色が見えていますように願います。 山田尚子監督 トツ子は寮生活をしているのですが、そのルームメートにすばらしいお三方にご参加いただきました。おおらかで芯の強いさくちゃんにやす子さん、一見近寄りがたそうでいてとても責任感の強いスミカに寿美菜子さん、楽しくてちょっと変なことが大好きなしほに悠木碧さん。この方々がトツ子の毎日を彩ってくださいました。アフレコでは、とにかく楽しそうにさくと向き合ってくださったやす子さん。彼女から生まれるさくはなんともかわいらしく、幸福感に満ちていてアフレコ現場が笑顔であふれました。寿美菜子さんは、さすがの安定感ときりっとした色気をもってスミカを作り上げてくださいました。そして悠木碧さん。彼女は、トツ子を取り巻く音を丁寧に考えて、パズルのピースをはめていく様にしほを演じてくださいました。このかわいらしい3人のルームメートのおかげでトツ子の毎日の生活がとても彩り豊かなものになったと思います。 また、きみを支える彼女のおばあちゃん。紫乃さんに戸田恵子さん。紫乃さんは、きみのお母さんだったり、時にはお姉さんのようだったり、と前を行く女性のしなやかとかわいらしいがある人です。これは、戸田さんご本人が持っていらっしゃる魅力ととてもぴったりと合っていると感じてお願いしたのですが、やはり素晴しくて。みずみずしさと落ち着き、太陽と月を併せ持つような本当に魅力的な紫乃さんが誕生しました。 「きみの色」は、脚本を人気アニメシリーズ「けいおん!」でも山田監督とタッグを組んだ、吉田玲子氏が担当したオリジナル作品。製作の詳細は、3月18日に都内で行われた製作報告会見で発表された。席上で、主人公3人の声を担当する声優陣が発表され、子どもの頃から人が「色」で見えるトツ子、きみのほか、母に家業の病院を継ぐことを期待され、隠れて音楽活動をする影平ルイを木戸大聖(27)、3人を導く物語のキーマン、シスター日吉子を新垣結衣(35)が演じることが発表された。鈴川はコーラス、高石はボーカルとして、劇中歌「水金地火木土天あーめんっ」も歌唱した。山田監督としては、映画としては18年「リズと青い鳥」以来6年ぶり、アニメとしても22年の「平家物語」以来の新作となる。米国、英国、ドイツ、イタリア、韓国はじめ210の国と地域の公開が予定されている。 ◆「きみの色」高校生のトツ子(鈴川紗由)は、人が「色」で見える。うれしい色、楽しい色、穏やかな色。そして、自分の好きな色。そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみ(高石あかり)と、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年ルイ(木戸大聖)とバンドを組むことに。学校に行かなくなってしまったことを、家族に打ち明けられていないきみ。母親に医者になることを期待され、隠れて音楽活動をしているルイ。トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。バンドの練習場所は離島の古教会。音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり-やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。会場に集まった観客の前で見せた3人の「色」とは。