米象徴する鉄鋼会社 USスチール “買収反対”の背景【WBS】
日鉄による買収の何が問題なのか、地元の組合幹部ドン・ファーコさんに話を聞きました。 「日鉄はUSWとUSスチールの労働協約を引き継ぐとしている。それは結構なことだ。しかし2026年に現行の協約が失効した後、日鉄が誠実に労使交渉に臨まず、製鉄所の従業員を全員解雇して閉鎖しないと誰が保証できるのか」(ファーコさん) USスチールの組合員は、労組との関係が良好なアメリカの同業他社に買収されることを望んでいました。 「組合員は非常に愛国的だ。USスチールのような由緒ある企業はアメリカ資本が所有すべきだと感じている」(ファーコさん)
アメリカのトランプ前大統領も「USスチールを日本が所有するなんて、私が大統領だったら絶対許さない」と演説で語っています。実はUSスチールの主要な生産施設は、ペンシルベニア州やミシガン州など2024年の大統領選挙で勝敗の鍵を握る激戦州にあります。USWに味方しなければ、バイデン大統領は、50万人以上の組合票を失うリスクも出てくるのです。 バイデン大統領が反対を示した今、日鉄は買収を完了できるのでしょうか。 鉄鋼業に詳しい「ウルフ・リサーチ」のティムナ・タナーズ氏は「バイデン氏の『アメリカ資本であることが不可欠』とするのは非常に踏み込んだ表現だ。買収が完了する可能性は低い。確率でいえば50%以下だろう」と語っています。 ※ワールドビジネスサテライト