「“プール”“保育園名”で検索すると裸の画像が…」「ストーキングして“チャンスをうかがう”人が出てきたら…」園のブログの悪用リスクとは?
個人の力では限界がある。そう思った七味さんは、オンラインでの署名活動を始めた。 「『保育園、幼稚園での幼児の裸(の画像)を載せないように、こども家庭庁は各自治体、園に通達してください』という内容で署名を集め、10740名の方から署名をいただき、そちらを(こども家庭庁に)提出しに行った」 七味さんの活動が功を奏し、今月7日、こども家庭庁と文部科学省は全国の保育園、幼稚園に子どもの裸の画像を掲載しないよう通達を出した。 「すごく嬉しかった。一人ひとりの市民の声がちゃんと国に届くんだと。ただ通知があったからといって、それが実際に現場できちんとやっていただけるかは別問題だ。通知に気付かず、いまだ載せている園に対しては国の方から個別で注意するなど徹底した方法で子どもたちの人権を守ってほしい」 スマホの普及などによって気軽に撮影・公開ができるようになった画像。幼稚園や保育園だけではなく親がネット上に子どもの写真をアップする時にも悪用の危険があることを知ってほしいという。 「『うちの写真も危ないんじゃないかしら』と危機感を持ってもらえたら嬉しい。子どもの裸はただ可愛らしいだけじゃなく、性犯罪者が収集するとてもリスクのあるものだともっと知られてほしい」
小児性被害などについて、日本の教育・認識は遅れているのだろうか? 3児の母でハーバード大学医学部准教授の内田舞氏は「日本に一時帰国した際に小学3年生の長男が引いていた」と振り返った。 「アメリカでは小児性被害・性加害は『法的にも絶対にダメなもの』と扱われており、メディアやアニメでも子どもの裸を見る機会がない。そのためか、小3の長男を連れて帰国した際に一緒にコンビニに行ったら、お菓子売り場で『うわっ!』と引いていた。長男が見たお菓子のパッケージにはセーラー服のような格好の非常に豊満なアニメキャラクターが描かれていたのだ。やはり感覚的に『これはダメなもの』になっている」 さらに内田氏は「やはり我々も晒されながら、慣れてきてしまって『これが何を示しているのか』について考えなくなる。メディアや広告に投影されるものは社会の中で共有されているものであり、それを私たちが視聴することで認識が増強されてしまう。今回のお菓子のパッケージは『子どもへの性的な目線はOKなんだよ』というメッセージが現れてしまったものではないか」と指摘した。 慣れや無意識が根底にあるとすると解決は容易ではない。 内田氏は「取り締まるためのルールや法的な規制があってもよく、感覚をアップデートするために大人の学び直しも必要だろう」と解決策を提示した上でアメリカにおける「同意教育」について説明した。 「アメリカでは幼稚園の時から同意教育が行われる。同意と聞くと“性的な同意”をイメージするかもしれないが、そうではなく『人間として自分と相手の意志や体をリスペクトして、互いは違うという前提において、互いが気持ちよく一緒に過ごせるように同意を持つ』ということ。印象的だったのは、私の息子が幼稚園で『これ貸して』と頼まれた時に、『今使ってるからダメ』と言ったこと。私としては『貸してあげなよ』と思ってしまったが先生は『物を誰かに渡す時は自分が使ってもいいんだという安心感を築くことが大事。安心感さえあれば、誰かに渡しても壊されるわけでもなく、必要な時には返ってくるとわかる。返答はYES・NOのどちらでもいいのだ。そしてNOと言われた際にもそのNOを受け入れ、ムーブオンすればいい』と話してくれた」 (『ABEMAヒルズ』より)