市川團十郎「ほめることの少なかった父ですが、珍しく『悪くないんじゃないか』と」最後に教わった役で5月に團菊祭
歌舞伎俳優の市川團十郎(46)が4日、都内で歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2~26日)の取材会を行った。 昼の部「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」の幡随院長兵衛は、2013年2月に死去した父・12代目團十郎さん(享年66)に最後に教わった役だ。亡くなる2か月ほど前、病床の父にDVDを見せ、テレビ電話で会話して手紙でもアドバイスをもらったという。13年1月にも同役を演じており、思い入れも強い。「褒めることの少なかった父ですが、珍しく『悪くないんじゃないか』と。悪くないと思ってくれたように、できればいいなと思います」と亡き父への思いを胸に秘める。 かつて、尾上松緑(49)を含めた3人で「平成の三之助」として脚光を浴びた盟友の尾上菊之助(46)と共演する。「菊之助さんとは先日も『勧進帳』で共演していますし、松緑さんとも誕生日プレゼントを贈り合う仲。みなさんが思うほど、仲は悪くないです。歌舞伎のために何ができるのか、考えられる仲間でありたい」と冗談も交えて語った。 また、「毛抜」は昨年死去した4代目市川左團次さん(享年82)の一年祭追善狂言となる。團十郎は後見として、粂寺弾正役を勤める左團次さんの長男・市川男女蔵(56)を支える。「左團次さんには大変お世話になった」と感謝して「市川宗家のためにどうあるべきか、考えてくださる方でした。左團次さんへのご恩を返さないといけないと思いまして、後見として見守らせていただきます」と思いを込めた。 卒業式で泣く 〇…團十郎は春休みに長女の市川ぼたん(12)、長男の市川新之助(11)とシンガポールとインドネシアのバリ島を訪れ、リフレッシュしたと明かした。「歌舞伎をやりすぎておかしくなりそうだったので。休みも大事ですからね」。3月には、ぼたんが小学校を卒業。17年に死去した妻の小林麻央さん(享年34)のことも思い出したようで「卒業式で泣いちゃいました」と明かした。
報知新聞社