県内初、酒蔵にビール醸造所 永山本家酒造場「地元産にこだわり」3種類販売へ【宇部】
宇部市二俣瀬車地の永山本家酒造場(永山貴博社長)は、オリジナルクラフトビールの製造と販売を始める。県内の酒蔵として初めて敷地内に醸造所を設け、レギュラー商品として3種類を開発。31日に開かれる酒蔵開きで初お目見えとなる。 アルコール離れや、低アルコール商品への嗜好(しこう)変化が進む中でコロナ禍となり、日本酒製造に特化した事業に危機感を感じたことがきっかけだった。2021年度にクラフトビールのプロジェクトを立ち上げ、醸造長の山本秀憲さん(35)を中心に商品開発を進めてきた。 コンセプトは、同酒造場の代表ブランド「貴」と同じく、食中酒として楽しめるビール。日本酒の仕込み水を使い、純米酒造りには規格外となった酒米、お茶など市北部地域で取れた農作物も活用し、地域循環型の商品作りにこだわった。 商品ブランド名は「Dr.KONG」。3種類のうちブランドの顔と位置づける「THE ANSWER」は、地元産の酒米・山田錦を使用し、同酒造場の代表的商品「ドメーヌ貴」と同様、味に奥行きを持たせる酸味が特徴。山本さんは「酒蔵がクラフトビールに参入する決意を示した商品となっている」と自負する。 「宇部から和を届ける」を開発コンセプトに、宇部産ほうじ茶を活用した「1080(テンエイティ)」、爆発的ジューシー感がコンセプトの「JAMITE(ジャマイト)」と他の商品も個性にあふれている。 昨年11月に完成した醸造所は、かつて米置き場だった倉庫を改装。サーバーを設置したカウンターを併設している。31日の酒蔵開きでは午前10時~午後4時に限定価格で3商品を楽しむことができる。 永山社長は「懇親の場で人と人とをつなぐアルコール飲料を造る酒蔵として、新しいものを提供したかった。材料も地元産にこだわっており、皆さんに楽しんでもらいたい」と話した。