《ひろみちお兄さん闘病記2》驚異的な回復も「今も上半身と下半身が離れている感覚」「おならが勝手に…」
《下半身麻痺となり歩けなくなってしまいました。病名は「脊髄梗塞」です》──『おかあさんといっしょ』(NHK)で体操のお兄さんを務め、「ひろみちお兄さん」の愛称で親しまれた佐藤弘道さん(56才)が、聞き慣れない病名とともに衝撃的な病状を告白したのは6月13日のこと。あの日から約半年が経過した。「脊髄梗塞」の発症で味わった先の見えない不安。暗闇から抜き出した原動力。そして今後の目標まで、最愛家族とのエピソードも交えながら語り尽くした。【全3回の第2回】 【写真】脊髄梗塞を発症した佐藤弘道さん。しっかりと両脚で立つ全身姿など
「体調不良を公表して気持ちが楽になった」
――沈んでいた気持ちが一転、「復帰」に向けてどのように変化していったのですか。 佐藤:当初は「体調不良でお休み」とのアナウンスだけで、お仕事をお休みさせていただきました。というのもその時はまだ、「脊髄梗塞の可能性がある」というだけで、病名がはっきりしていなかったんです。「脊髄梗塞」と判断してもらうまで、約2週間かかりました。 病名がわかるのを待って、6月13日に公表しました。そのタイミングで「公表した以上、頑張らなくちゃ」と気持ちが切り替わり、落ち込むこともなくなりました。公表して気持ちが楽になったという感覚もあったのですが、それ以上に、たくさんの方々からの励ましのメッセージが力になりました。その中には、「私も脊髄梗塞を発症しましたが、いまは世界中を旅するくらいまで回復しました」とか、同じ病気を発症した方々のお話も含まれていたんです。それを読んだときに、「僕も回復できるかもしれない」という希望の光が見えたんです。 ――佐藤さんは鳥取県の病院に3週間ほど入院されました。発症直後の入院生活で苦しかったことはなんですか。 佐藤:排せつ障害が特につらかったです。レントゲンを撮ったときに膀胱がパンパンだったのですが、尿意をまったく感じませんでした。すぐに看護師さんが尿道に管を入れて排尿を促してくれました。便意もまったく分からなかったので、おむつを履くことになりました。そんな状態にショックを受けたのを覚えています。 鳥取県の病院に3週間入院した後に東京の病院に転院したのですが、転院して1週間後くらい、発症から1か月くらい経ってようやく尿道の管を外すことができました。尿意も少しずつ感じられるようになり、その頃から足も曲げ伸ばしくらいはできるようになってきたんです。少しずつ感覚が戻ってきているなという感じがありました。さらにその1週間後くらいには、歩行器を使ってではありますが、ひとりで歩けるようになりました。その後リハビリ専用病院に転院して、日常復帰を目指しました。