令和の虎・竹内亢一社長が教える…「動画アカウント」を持っていない企業は時代遅れだと言える納得の理由
動画ひとつでイメージが変わる
顧客が商品を購入し、利用、継続、再購入するまでのプロセスを、カスタマージャーニーと呼ぶが、動画は視聴者の娯楽(あるいは暇つぶし)としても導線を作り出すことができる。 「自分が利用しているSNSで、気になる企業をリサーチする。その際、何もコンテンツがないと、その時点で機会損失だと考えた方がいいです。また、せっかく動画を作成したのであれば、TikTokだけに公開するのではなく、Instagramのリール、YouTubeなど分散させた方がいい。同じ動画を分散型メディアとして散らしておく方が、タッチポイントも増えますよね」 また、宣伝色を前面に出さないこともポイントだと竹内さんはアドバイスを送る。 「仮に、焼き肉店がPRを目的としたTikTokを始めるとして、PR色の強い投稿――、「この肉は美味しい」 とか 「低価格で最高」 といった内容が全体の8割も占めていたら、見る気をなくしてしまう人は多いと思います。そのお店に興味を持ってもらうための動画は、必ずしもPR色がなくても打ち出せるはずです。 たとえば、 「焼肉、1000回噛むとどうなる?」 と題して、カメラの前でずっとカウントしながら焼き肉を噛んでいる動画を作ってみる。焼肉というコンテンツをいかした面白系の動画を呼び水にして、 「この店、面白いな」「この店、気になるな」 と親近感を抱いてもらうこともできます」 企画力が試されるわけだが、アイデア次第では劇的な効果を生む可能性もある。実際問題として、竹内さんは求人が難しい建設業でとび・土工工事業を営む「株式会社 起工業」のアカウント管理をし、求人募集と採用率を大幅に向上させた実績を持つ。 「キツそう」「危険」「先輩が怖そう」といったネガティブなイメージが抱かれがちな建設業界は、慢性的な人手不足に悩まされている。 「まず求職者が知りたいのは、起工業のとび・土工工事の現場の雰囲気が分かることです。「想像していた雰囲気と違う」となれば齟齬が生じ、離職につながりかねません。そのため、福利厚生面を含めて、起工業がどのような会社なのかを伝えるようにしました」 その上で、経験者と未経験者に分けて動画を作成したという。 「経験者に対しては、とび業界の「あるある」ネタを仕込みつつ、「それ分かる!」と共感できるような動画を作ること。未経験者に対しては、「とび職がどんな仕事なのか」が伝わるように、言わば“なんとなくしか分かっていない人たち”に刺さるような動画を作ること。後者は、「こんなに高い場所で働いています」といった初歩的な情報を伝えつつ、とび職人さんのすごさを伝えるようにしました。 分かりやすい例で言えば、未経験者でも「高いところが好きなら、それは立派な才能だ」ということが分かるような動画です。そういった気づきを与えるような導線を作ることで、未経験者は「もしかしたら私は向いているかも」と興味や関心を示すんですね」 まさに前述した「好きかもしれない層」を視野に入れた動画マーケティングだろう。