梅産地からの盗難品流通を防げ…JA紀南などの部会、袋・樽の生産者名一致で判別
梅干しの本格的な出荷シーズンを前に、梅の産地の和歌山県みなべ町や田辺市、JA紀州、JA紀南などで構成する「紀州梅の会 梅干部会」が、盗難品の流通防止に注力している。同部会が考案した盗難・偽装防止用の袋に梅干しを詰め、生産者名を記して出荷するよう梅農家に呼び掛けている。出荷用の 樽たる にも記名したシールを貼り、袋と樽の名前が一致しなければ盗難品だと分かるようにする仕組みだ。(桑原尚史)
梅は6~7月頃に収穫され、梅干しなどの加工品や梅酒などに使われる。
一方で、梅農家が丹精込めて作った梅干しの盗難被害も起きている。施錠していない倉庫から盗む手口が多いといい、農家はカギをつけたり、防犯カメラを設置したりして守っている。
ただ、自助努力だけでは盗難品が市場に出回ることを防げない。そこで同部会は、正規品か盗難品かを容易に判別できるよう、出荷用の袋を変更した。
従来は梅干しを詰めた袋を専用の樽に入れるだけだったが、今年の出荷分から、袋に生産者の名前を記し、その袋を専用樽に入れて出荷することにした。このことで、袋と樽の名前が一致する梅干ししか市場に出回らなくなる効果を見込む。
JA紀南青年部三栖支部の有志は、2016年から秋に夜間パトロールにも取り組んでいる。10月15日夜には約10人が2人1組で約1時間、地域を巡回した。梅田純也・同支部副部長(34)は「盗難防止には、梅農家の自助努力だけでは限界がある。仲間同士で助け合いたい」とする。
梅を栽培して7年目になるという広畑佳和・同支部長(36)は「今シーズンは不作だった。そんな状況で作った梅干しを盗まれてはたまらない。盗難対策だけでなく、パトロールも継続して被害を防ぎたい」と話す。