指名漏れから2年…155キロ右腕の生田目翼が感激の日ハム3位指名
「大谷世代」の最速155キロ右腕、生田目(なばため)翼(23、日本通運)が、ドラフト3位で日ハムに指名された。流通経済大時代には、「公務員になりたい」の発言が話題となり、2年前のドラフトでは、度重なる故障や、3位以下なら社会人という“上位縛り”の影響で、まさかの指名漏れとなっていたが、その屈辱も晴らした。 日通本社の会議室に設置された会見場に颯爽と現れた生田目に緊張感は感じられなかった。至ってマイペース。時折、藪宏明監督と顔を見合わせ笑顔を浮かべながら、約4、50人の報道陣に見守られる中、テレビのドラフト中継に目を凝らした。しかし、1巡目が過ぎ、2巡目が終わっても、その名前はコールされない。 「2年前がよぎって、少し不安になってきた」。 前夜は「(ドラフトを)気にしないようにしていたけど、あまり寝た気がしなかった」という。 指名漏れの恐怖に襲われつつあった3巡目。 日ハムだった。 「な・ば・た・め」という名前が読み上げられると、思わず笑みがこぼれた。 「待っている時間が長く感じたので、ホッとしました。(3位という順位は)、まあ想定の範囲内ではありました」 武田久投手兼任コーチの出身球団。しかも、日ハムは、毎試合のように複数の編成、スカウトがクロスチェックで視察に訪れていた。 生田目にも予感はあったのかもしれない。 日ハムの印象を聞かれると、「若い選手が中心で、投打が噛み合っている。自分も少しでも早く試合に出て、勝利に貢献したい」と答えた。 本拠地となる北海道には縁もある。 弟の忍が星槎道都大(3年)で内野手としてプレーしているのだ。 「弟がいるのと、大学の卒業旅行で行ったことがあります。イカやサーモンなどの海鮮がおいしかったです」 そう言って報道陣をなごませた。 プロ1年目の目標を「即戦力で期待されていると思うので、まずは開幕1軍」と宣言した。 「上位指名の高校生2人よりも先に、1軍に上がりたい」と、外れ1位の金足農、吉田輝星、2位指名の花咲徳栄、野村佑希をライバル視する発言を続けたが、会見に同席していた武田投手兼任コーチからは、「ずいぶん控え目だな!」と、笑いながらつっこまれた。 日ハムは、例年、ドラフトの1、2位を避け、3位以下で即戦力の社会人を押さえておくという戦略を取っており、生田目にも、当然、即戦力としての期待値が大きい。 武田投手兼任コーチは、生田目について「今年は先発でやって結果も出してきたけど、適性は、試合終盤のリリーフ」と話す。どちらもできる適性は、生田目の出場機会を増やすことになるだろうが、今季、日ハム先発投手陣の中で、規定投球回に達したのは上沢直之とマルティネスの2人のみ。「任せてもらえれば、先発で投げたい」という生田目が、ローテに割って入る余地は十分にある。 「向かっていく姿勢、攻めの投球が売り。プロでも自分の投球スタイルを貫きたい」 ピンチを迎えるとアドレナリン全開となり、マウンドでシャウトしながら闘志を剥き出しにして投げる。それが生田目のピッチングスタイルである。プロでも、そのスタイルを曲げる気はさらさらない。 プロで対戦したい打者としては、阪神の2年目で、今年は4番も打った同級生の大山悠輔の名前を挙げた。交流戦か、日本シリーズでしか対戦機会はないが、水戸工高時代からつくば秀英高の大山とは対戦機会があり意識していたという。 また阪神に4位指名された齋藤友貴哉と、投げ合いたいという思いもある。 「同世代なので、ずっと意識していた。オープン戦も含めて社会人では投げ合う機会がなかったので、交流戦などで対戦して投げ勝ちたい」 2年越しの夢をようやくかなえた生田目は、「将来は、大好きな地元・茨城のヒーローになりたい」という。 (文責・徳吉刑事/スポーツライター)