バラバラ遺体の過激な映像を流せば関心を引けるのか…イスラエル-パレスチナ戦争への日本の「無関心」と戦うTBS戦場記者の葛藤
バラバラ遺体の過激な映像を流せば関心を引けるのか?
――中には、地上波では流せない映像もありますよね。 そうですね。遺体に関しては「死者の尊厳」という日本らしい理由で流せません。これはこれで、すごくまっとうな理由だなと思います。海外だと「WARNING」という警告の後に流したりしますけど、日本の地上波でバラバラになった遺体がいきなり出てということは考えにくいじゃないですか。そこは国民性もあるのかなと思いますね。 ――まあ、そのまま流せばいいってものでもないですよね。 でも、流せるならば、ありのままを流したほうがいいかなと思うこともあるんです。ただ、僕の最終的な目的は「日本人の関心を、難民問題や紛争の早期解決に持っていくこと」なので、過激なものを見せることでチャンネルを変えられてしまってはダメですし、「すげえ」「えぐい」と思われるだけでもダメ。そのバランスは、ちゃんと考えていかなきゃいけないなと思っています。 ――そこは、メディアによっての使い分けも考えられますね。 そうですね。僕が現在作業をしている映画に関しては、関心のある人がお金を払って観にきてくれているので、ほぼモザイクなしでいけますし、YouTubeも年齢制限がかけられるので、それぞれのプラットフォームの性質を考えながらやっていくつもりです。 おかげさまで、Xでフォローしてくれる人も少しずつ増えてきたので、最近は遺体映像のリポストや、それに対するコメントもすごく慎重になりました。やっぱり、それを見た瞬間に離れてしまう人のほうが多いと思いますし、それは結果的に自分が目指すものではないと思うので。 取材・文/森野広明 撮影/村上庄吾