劇団『ヨーロッパ企画』旗揚げ25周年イヤーに新作映画制作 上田誠らメンバーが旗揚げ・新団員加入を振り返る
■劇団として“誰も歩んでいない道を歩む”
――劇団立ち上げの時には、25年後、その先の未来というのはどういう想像をしていましたか? 諏訪:不思議ですね、最初は“僕の最後の舞台にしたいから上田くん書いて”って感じで誘ったんですけど、全然最後にならなくて。(当時は)就職も決まったし、劇団は立ち上げたけど僕は働こうかなみたいな時期もあったけど、結局留年して内定取り消しになって、結局はこっちかなみたいな。結局これしかなかった感がすごくある。この先ホンマ分からないですけどね。 上田:古いカーナビだったら、道が新しく出来ているときに“あれ?これもう森みたいな中に行ってるな”みたいな時があるじゃないですか。どこ走っているんだろうみたいな。ずっとその感じなんですよ。たぶん諏訪さんなんて、大学7回生とかで、僕も5回生とかで劇団やっている時なんか、本当に道がないところをずっと行ってるみたいな状況で。僕なんか大学辞めたりして、もういよいよ道がない所に行ってる感じがあるんですよ。今も、劇団で映画やるってそんなにない道だと思います。あんまり誰も歩んでいない道を歩むのが面白いからやっているのですごくいいことなんですけど。
■約17年ぶり新団員 「めちゃめちゃ入団しましたね」
今作の映画で主役を務める藤谷さんは、2021年に約17年ぶりの新団員としてヨーロッパ企画に入団しました。 ――藤谷さんが入団した経緯を教えてください。 藤谷:そもそも初舞台が(2014年の)諏訪さんのプロデュース公演でお世話になっていまして、やっぱり若かったというのもあって、気にかけていただいてたというか。事務所に入れていただいていたご縁というのもあって、いろんなタイミングが合ったタイミングで入団したという。 上田:藤谷さん以外のメンバーは、入ったのが初期の頃なので、なんとなくみんな近くて仲いい人らで始めて、じわじわ入っていく感じで。初期にわーっと入って、そこでメンバーがある程度固まってずっときた。17年ぶりの新団員なんで、当たり前なんですけど自然とは入らないんですよ。それに気付いて“あ、自然と入ることではないんだな”と思って、ちゃんと“入ってください”ってお願いして。だから誰よりもちゃんと入ったかもしれないですね。 藤谷:たしかに“入団”みたいなのはしていただいたかなと。 上田:だからめちゃめちゃ入団感はありました。入団感なく入るのが本当はベストなんですけど、めちゃめちゃ入団しましたね。 諏訪: (他のメンバーの時は)入団しましたとかも、たぶん発表とかもしてなかったんじゃないかな。 藤谷:(正式に入団したのは)私だけかもしれない ――17年ぶりに入団してもらいたいと決断した理由は? 上田:もともと藤谷さんに入ってもらいたいというのは大きかったですけど。(ヨーロッパ企画は)どんどん新しい人が入って、年齢層が縦に伸びていってというようなタイプの劇団じゃなくて。自分らの代でこの活動は終わるだろうからってくらいに思っていたんですけど、だんだんスタッフの人とか、それこそ藤谷さんとか、グッと若い世代の人たちもヨーロッパ企画に関わるようになってくれて。 劇団って始めた頃は面白いんですけど、だんだん熱っていうのが、最初の20年と、20年目から40年目みたいなことって、どっちが熱が高いか。後半の方がどうなるかは自信がなかったんですけど、だんだん“これあと20年やれそうだ”って思ったし、それには新しい力が必要だって思ったタイミングがあって、じゃあもうそれは藤谷さんがいてくれたらって思ったし、逆に藤谷さんがいたから意識したというのもありますし、だいぶ大きいですね。(今後の劇団の)全部を背負ってもらおうって思っていますけど。 藤谷:ちょっと荷が重いかもしれないですけど、光栄なことですね。