女性初のプロ棋士へ王手 西山朋佳女流三冠が勝利、編入試験2勝2敗に
将棋で女性初のプロ棋士を目指す西山朋佳女流三冠(29)は17日、大阪府高槻市の関西将棋会館で棋士編入試験5番勝負の第4局に臨んだ。先手番の西山が95手までで、試験官の宮嶋健太四段(25)に勝利。「とにかく悔いがないように指せれば」と力を尽くし、通算成績2勝2敗として、夢の実現に王手をかけた。 【写真】棋士編入試験5番勝負第4局で勝った後、感想戦に臨んだ西山朋佳女流三冠(左) 将棋のプロは棋士と女流棋士がおり、なるための制度が異なる。棋士編入試験は新人棋士との5番勝負で月に1局ずつ対局し、3勝すれば合格となる仕組み。 現行制度の編入試験で、女性が受験するのは2022年に不合格となった福間香奈女流五冠(32)に続いて2人目。西山が合格すれば、女性で初めてとなる。 西山は7月、直近の公式戦で「10勝以上かつ勝率6割5分以上」という受験基準を満たした。9月の第1局で高橋佑二郎四段(25)に勝った後、10月の第2局で山川泰熙四段(26)に敗れ、11月の第3局で上野裕寿四段(21)=加古川市出身=に負けていた。通算1勝2敗と追い込まれた状態で、第4局を迎えた。 本局で西山は、高橋四段に勝利した際の得意戦法「三間飛車」を採用。「独特の空気感の中での対局。できるだけ自分の全力を出し切れるように」と臨んだ。 中盤戦で「形勢は難解」「対応を誤ってしまったかな」と悲観した局面もあったというが、相手の粘りを欠いた手を見逃さず、「豪腕」と呼ばれる棋風を象徴するような攻めを繰り出し、一気呵成に寄せ切った。 宮嶋は「注目される対局で熱戦にできなかったことは非常に残念」「私が非常にふがいなかった」と反省し「読みの深さで完敗だったかな」と西山をたたえた。 女性初の棋士誕生がかかった第5局は来年1月の予定で、試験官は柵木幹太四段(26)が務める。 西山は第5局に向け「大一番、泣いても笑っても最後」として「本局も要所であまり良い手が指せなかったかなというところはある。反省し、最後は悔いのないように挑みたい」と語った。(小林伸哉)