森永卓郎が語る「財務省の本当の姿」 日本が重税国家になったのには理由がある
黒木)それなのに増税していくのですか? 森永)そうです。私が社会に出た1980年度は、国民負担率が30%でした。しかし、どんどん増税が進んで、いまは48%です。稼いだお金の半分を政府が持っていってしまう。1988年と現状を比べると、消費税をカウントした手取りも減っているのです。35年前よりも我々は貧乏になっている。これでは経済がよくなるはずはありません。 黒木)日本がなぜ墜落したのか、この本では「信者8000万人の巨大カルト」と書いています。つまり日本の人口のうち、8000万人はそれを信じている。 森永)宗教とカルトはどう違うかと言うと、例えば宗教団体も信者からお布施や献金を貰ったりします。でも宗教団体は、巨額のお金を要求するようなことはしません。信者の人が幸せになるように考えるのが宗教だからです。それに対してカルトの場合、教団幹部たちの暮らしをよくすることには熱心ですが、信者が借金まみれで家計が破綻しようが何だろうが、知ったことではないのです。 黒木)そういったことが本のなかで書かれています。日本が重税国家になっている。消費税も年金保険料率も、復興特別所得税もそうですし、相続税もそうです。当たり前だと思っていた税金が、実は当たり前ではないと書いてあります。 森永)それだけ取ってもサービスがよければいいのですが、例えば日本の公的年金の給付率は、先進国のなかで最低水準です。公的教育費の負担率も、経済協力開発機構(OECD)という先進国クラブ30ヵ国ぐらいのなかで日本は最低なのです。「取るだけ取って何らサービスはしない」という、おかしなことが起こっています。
森永卓郎(もりなが・たくろう)/経済アナリスト ■1957年生まれ。66歳。 ■1980年に東京大学経済学部を卒業したのち、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、1991年から三和総合研究所(現:三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング)の主席研究員を務める。 ■90年代から経済アナリストとして数多くのメディアで活動。2003年には著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』がベストセラーに。その鋭いコメントやわかりやすい解説が注目を集め、人気を博している。 ■2006年からは獨協大学教授に就任。 ■専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済。その他に、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。 ■ミニカーなど、さまざまなコレクターとしても有名で、自身のコレクション約12万点以上を展示する博物館「B宝館」も運営している。 ■2023年12月27日、ステージ4の膵臓がんであることを公表。入院して治療を受けていたが、現在は退院。 ■2023年5月には『ザイム真理教 それは信者8000万人の巨大カルト』を出版。