木村拓哉、年末年始に多方面で活躍 『ハウルの動く城』から変わらぬ“挑戦し続ける”姿勢
木村拓哉がハウル役にハマった鍵は“男のいい加減さ”?
そんな木村が『ハウルの城』で演じたのが、ジブリファンの間でも“随一の美形王子”と呼ばれるハウル。「美女の心臓を取って食べてしまう」という噂が囁かれる魔法使いで、そのいで立ちからは完璧な王子像を彷彿とさせるのだが、まだ成長途中の青年であった。そんな未完のキャラクターを演じること、しかも姿はなくボイスキャストという点でも当時大きく話題を集めた。 俳優としてドラマなどで聞こえてくる声とはまた違い、純粋さや自由さなど役柄を踏まえた声に改めて発見があった。『金曜ロードショー』公式Xにもあるように、鈴木敏夫プロデューサーは、「男のいい加減さを表現できる人だと思う」と娘から言われたことを受けてハウル役にぴったりだと感じたそうだ。 さらに映画公開の後に鈴木のラジオでも語られたが、アフレコ時には木村は全ての台詞が頭に入っており、台本を持たずに演じたという。鈴木プロデューサーは「そんな人は後にも先にも彼だけ」と語ったというが、その姿勢からしてもハウルとして生きていた時間を想像させる。 そんな答え合わせをするかのように、木村のYouTubeチャンネルでは1月4日に「【木村さ~~ん!】木村拓哉『実家』へ帰る」と題してジブリパークでの様子を配信した。“実家へ帰る”と記したように、言葉の端々からまるでアニメの世界が実在するかのように、様々なシーンやハウルや登場人物の動きを再現するなど、ハウル役と木村自身を行ったり来たりしながら館内をまわった。作品や役への敬意がありながら、いかに自分を通して演じていたのか。ハウル役が改めて適任だったこと、彼にしか演じられない役であったことを改めて感じた。 木村は圧倒的な存在感がありながらもそこに胡坐をかかずに挑戦を続ける。ハウルに限らず尾花など、演じる役に通じるものがある。久石譲が手がけた映画を彩る壮大な音楽もまた心地よく、木村の声も響き渡る『ハウルの動く城』。令和の世にも色褪せることなく存在し続けるのだろう。
柚月裕実