5年に1度の財政検証、次の年金改革の目玉とは?
年金部会などでは、年金局がセットする議題に沿って、マクロ経済スライド調整期間が一致しないのはおかしい、ゆえに調整期間の一致を支持するという論もでてくる。しかしながら、なぜ、国民年金と厚生年金の調整期間が不一致であれば問題があるのか。年金部会では、そうした議論もしてもらえればと思う。 ただし、調整期間の一致の必要をいう際に基礎年金の水準を上げて貧困を解決する話に触れると、先に論じたような、貧困とは無縁の論者自身の国庫負担が増えるという矛盾に衝突する。
なお、基礎年金の水準論を昔から好む「基礎年金グループ」とは異なり、私は、これまで一度も基礎年金の水準論を行ったことがない。しかし、被保険者期間の延長、適用拡大、マクロ経済スライドのフル適用という、将来の基礎年金の給付水準が上がる政策は誰よりも強く言い続けてきた。 ──今後の年金制度改革のヤマ場は? Work Longerという社会全体の上位の政策目標に照らし合わせ、社会制度全体のインセンティブ・コンパティビリティー(誘因両立性)を考えることが今は最も大切であり、その観点に立てば、高在老の廃止はかなり高い優先順位を持つことになる。
■なぜ高在老の廃止が重要なのか しかし、この改革はなかなか難しい。2018年11月の年金部会で、「これまでの在老は見直し、廃止を視野に入れた検討項目として、長い間、いろいろと会議とか報告書で触れられてきたわけで、恐らく私の読みでは5年後の年金部会でも在老をどうするかの議論をしていると思います」と発言している。 出口治明委員から、「権丈先生のお話でショックだったのは、5年後にもまだ在老を議論しているかもしれないという見通しだったのですけれども、(中略)決して金持ち優遇でも何でもないので、いろいろな問題点があるとしても、基本的には廃止すべき方向で、ここで議論していったらいいのではないか」との発言があった。