中山秀征が語る関西芸人とテレビタレント、10年ぶりに会った今田耕司から言われた"告白"
『DAISUKI!』は、ひそかに苦労もした
『DAISUKI!』に関しては、ひそかに苦労もしたんです。当時はそんなこと、表には出しませんでしたが。例えば、1本撮るのに11時間くらいカメラを回し続けた回もあったくらいで、ダラダラ遊んでいるだけに見えたかもしれませんが、11時間カメラの前で「遊ぶ」のも、結構疲れるものなのです(笑)。しかも、それを毎週やる。台本なんてほとんどない中で。今考えても、飯島直子さんと松本明子さんはすごかったと思います。本当に感謝しています。 今、若いテレビマンが「令和版の『DAISUKI!』を作りたいです」なんて言ってくれるようになったけど、当時は“お笑い=作りこんだ物”という価値観でみんなが動いていたわけで。僕も本音としては「パチンコが出るまで何時間かかると思っているんだ! 生半可な気持ちじゃできないんだよ!」という気持ちがあったけど(笑)、それを口にしたら負け惜しみみたいになっちゃいますからね。画面上では和やかに遊んでいるのに、実際の収録は必死だったなんて視聴者だってきっと知りたくないですよね。 そうした批判の中で一番大きかったのは、ナンシー関さんでしょうか。ナンシーさんは、僕のことをめちゃくちゃよく観察してくれましたた。本当に書いてある内容が鋭かった。最初に『週刊文春』のコラムで書かれたときは、マネージャーが教えてくれたんです。「お前、ナンシー関にいろいろ書かれてるぞ」って。同時に「これは相当深くお前のことを見ていないと書けない内容だな」とも言われました。 そこからは節目節目で中山秀征について書いてくれるようになりまして。僕としては「そんなシリーズで書くことがあるのかな?」と思いつつも、それはそれでありがたいという気持ちもありました。もちろん辛辣な内容ばかりでしたけど(笑)。何回も僕のことを批判した挙句、「これで中山秀征について触れるのは最後にする」と書かれたときは、むしろ寂しい気持ちになりましたね。 そして今はSNSの時代になりました。人前に立つ立場になれば、多くの批判に晒されることになります。だけど、悪評というのは評価のひとつともいえる、と僕は思っています。文句を言われたらもちろん頭に来ることもありますが、その「文句」が的を射ている場合もある。 番組を最後までちゃんと見た上で、「今日もつまらなかった」などと批判している場合は、無視されるより良いんじゃないかと僕は思っています。一気に仕事を失った時期があった僕としては、この仕事をやる上で、誰からも突っ込まれないという状況のつらさを身に染みて感じているので。
小野田 衛