糖尿病見落とされ男性患者死亡…改善命令の医療法人「徳洲会」8月末までに改善措置の実施完了求める 神戸市
糖尿病患者に対して適切な治療をせず死亡させその後十分な検証を行わなかったなどとして、神戸市は医療法人「徳洲会」に改善命令を出しました。神戸市は今年3月上旬までに改善計画書の提出と8月末までに病院に対して改善措置を完了させることなどを求めるということです。 改善命令が出されたのは、神戸市垂水区の「神戸徳洲会病院」を運営する医療法人「徳洲会」です。 市によりますと、元々糖尿病で通院していた70代の男性患者が新型コロナウイルスに感染し神戸徳洲会病院に入院、今年8月に症状が悪化し別の大学病院に転院しましたが、症状が落ち着いたため9月に神戸徳洲会病院に戻ったということです。 しかし、当初、糖尿病が見落とされ、インスリン投与など適切な対応が行われず、病院は数日後に気付きましたが、10日後に死亡しました。 その後法人は適切な検証を行わず医療安全体制が機能していないなどとして、神戸市が兵庫県では初となる医療法に基づく改善命令を出しました。
薬の残量アラーム鳴るも補充されず患者死亡
上記の糖尿病の男性患者の件以外にも、神戸市は次の内容が、今回の措置命令の処分原因となると明らかにしています。 ▼去年10月、気管や肺からの出血症状がある患者に対して当直の医師が一般病棟で夜間に気管視鏡検査を行いましたが気管からの出血が多く、出血元不明のまま終了し、数時間後に患者が死亡した ▼今年1月、「昇圧薬」投与する入院中の患者について、薬を投与する医療機器の残量アラームが鳴っているとの報告があったにもかかわらず、薬剤の交換の際し、複数の職員の中で至急の意図が伝わらず、薬剤の交換が行われなかったということです。患者は結果的に昇圧薬の注入が途絶えて、間もなく死亡した ▼去年9月~10月にかけて亡くなった患者らのカルテについて、主治医が死亡までの7日間や死亡診断時のカルテを記載していなかった
改善措置を8月末までの実施求める
神戸市は去年8月に医療安全体制の不備などから行政指導を行っていましたが、糖尿病の70代男性患者が死亡した事例について、保健所が指摘するまで調査や分析などは速やかに実施されず、検証が不十分だったということです。神戸市は行政指導を受けている最中にもかかわらず、繰り返し医療安全体制に重大な不備を発生させたことは、運営が著しく適性を欠くと認められるということです。 市は、3月上旬までに改善措置計画書を提出させたうえ、今年8月末までに改善措置を実施・完了させることを命じました。