見かけない生きものが公園に…ハリネズミだ! 動物病院に持ち込まれた小さな命を救え
依田さん姉妹が運営する東京の動物病院・たんたんペットクリニック。動物病院で診察や往診の一方、飼い主のいない愛玩動物を保護する活動も行っています。多くは猫や犬ですが、2022年暮れに意外な相談がありました。 【写真】ボールのように丸くなっています その相談は「行き場を失ったのか、小さな公園でハリネズミが彷徨っているところを保護したのですが……」というもの。 「初めてのケース」と驚く2人。まず地元の警察署に飼い主からの捜索願いなどが出されていないかを保護主さんに調べてもらいました。それらしき届け出はなく、同院で保護することにしました。
増えるエキゾチックアニマルの飼育放棄・遺棄
後にこのハリネズミに付けられた名前は「道端カレンちゃん(以下、カレンちゃん)」。「道端で見つけた可憐なハリネズミ」というもの。 カレンちゃんはどんな経緯から1匹で彷徨っていたのでしょうか。「飼いハリネズミ」だったとして、何らかの原因でケージの外に出てしまったのか、飼い主が棄てたのか。近年、エキゾチックアニマルに一定の人気がありますが、「飽きたから」「懐かないから」と棄てるケースも増えていますが、依田さん姉妹は猫や犬とも分け隔てなく献身的に世話することにしました。
丸まった姿はまるでトゲトゲボール
カレンちゃんは当初、優しい保護主さんの配慮でホッカイロを貼ってもらった段ボールに入れられ同院に持ち込まれました。馴れない環境に怯えているのか「私ならいませんよ」とばかりに、体を丸め姿を隠そうとしています。しかし、その姿はまるでトゲトゲのボール。なんともかわいい姿です。 保護主さんによれば、カレンちゃんにニンジンやリンゴを小さく切り与えてみると、食べてくれたと言います。 同院ではカレンちゃん用のケージを用意しチーズや、ハリネズミが好んで食べるゴミムシダマシの幼虫・ミルワームなどを与えました。 すると、ここでもまたクシャクシャと口にしてくれ、ホッとする依田さん姉妹でした。
ブランコが止まらず降りれなくなるオチャメぶりも
食欲旺盛で栄養を摂ることができることに安心する一方、狭いケージの中では運動不足になりがちです。 ケージ内にネズミ用のブランコを用意し、自由に遊んでもらおうとしました。ブランコに乗ってゆらゆら揺れることを楽しんでいましたが、あまりにカレンちゃんが動きすぎてブランコに遠心力がついて止まらなくなり、「ブランコから降りられなくなる」といったオチャメな一面も見せてくれました。 「このかわいさを前に、里親さん募集をする気が失せました(笑)」と笑う依田さん姉妹でしたが、後に預かりボランティアさんに思いを託し、この方の家で世話してもらうことになりました。 ひとりぼっち、小さな体で彷徨っていたカレンちゃん。これからはいっさいの不安のない環境で幸せに過ごしてほしいものですね。 (まいどなニュース特約・松田 義人)
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