「45R」の「藍職人いろいろ45」は高額品が飛ぶように売れる店 客単価18万円
藍染めは一点一点染まり方が異なるため、同じデザインでも同じものはなく、時間をかけて吟味する客の姿が印象的だったが、それ以上に驚いたのは高額品が飛ぶように売れていた点だ。聞けば、自身の顧客を接客するために各店から応援スタッフが駆け付けており、オープンに駆け付けた顧客は「何かしら購入された方がほとんど」(広報担当者)だという。「45R」の売り上げの7~8割が顧客だという。スタッフと客の信頼関係が厚く、スタッフにはブランドに対する熱意と豊富な知識量がある。製品の持つ魅力や価値、どんな職人が染めているのかなどを丁寧に伝える姿があった。
日本の伝統技術継承とビジネスの両立
近年、ラグジュアリー・ブランドは希少性のある材料を使ったわかりやすい表現から、歴史や文化に根差した職人の技巧や創造性へと転換しつつある。ファッション産業では、サヴォアフェール、クラフツマンシップといったキーワードで新たな価値を創出しようとしている。他方、「世界に残る伝統技法の70%が日本の技法」「伝統技法の継承が難しい」「継承したとしても若手はビジネスにつなげるのが難しい」という話も聞く。そうした日本の伝統技法を海外のラグジュアリー・ブランドが注視し、協業を始め、ラグジュアリーの価値として製品の提供を始めている。
では、日本ブランドによる日本の伝統技法の継承と活用した新しい価値の創出は可能なのか。「45R」の現在の店舗数は国内が37(実店舗35)、海外が22。顧客が多く、その顧客と積み上げた信頼関係がある。満を持して始めた伝統技法継承とビジネスの両立を目指す本プロジェクトは、興味深い事例だ。